研究概要 |
現在まで多くの生物の染色体上に、他の部位より組換え頻度が上昇した。いわゆるホットスポットが見出され解析されてきた。しかしその部位がとのような要因や機構によってホットスポットとなり得るかについてはほとんど不明のままといってよい。この特異な部位の同定と構造解析、さらに要因の解明を通して、相同的組換えの分子機構に迫ることが可能となろう。我々は大腸菌のRNase H欠損変異株で働く新しい複製開始点の研究を進めているうち、この株の複製終結領域に非常に活性の高いホットスポットを多数見いだした。その解析が本研究の目的である。 まず大腸菌RNase H欠損変異株において見出した8種のホットスポット部位のうち、1種を除き全て複製領域に位置しており、しかも終結点のごく近傍に位置するものが多かった。そこで宿主として終結反応が欠損した株を用いて調べたところ、ホットスポットは2種類にわかれ、3つのホットスポット(HotA,B,C)は、その活性が終結反応に依存し、残りは依存しなかった。さらに、すでに微視的なホットスポットとして知られるChi^+配列と本研究のホットスポット(HotA)との関係を詳しく調べたところ、HotA活性にはChi^+配列が必須なことが判明した。以上の結果から、終結点で阻止された複製フォ-ク部位に、RecBCD酵素がアクセスすることが強く示唆された。
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