平滑筋のアクチンとミオシンの反応を活性化するCaの作用についてはミオシンフィラメント側であるというミオシンのリン酸化説とアクチンフィラメント側であるというライオトニン(Ln)があり未解決の問題になっている。Ln説における研究課題の一つはアクチンフィラメント側からの制御とは具体的にどのような機構なのかを示す事である。本研究では平滑筋リン酸化酵素(MLCK)の特質の一つであるアクチンとの相互作用に焦点を絞りそれが制御にどのような役割をもつかについて明かにすることを目的とする。トリ筋胃MLCKを抗原にして作成した単クロ-ン抗体はウシ平滑筋のMLCK(155kDa)とも反応しごくわずかであるが155kDa成分による平滑筋アクトミオシン活性化を阻害する。そこでアクチンフィラメント側からの活性化を説明する上で重要と考え155kDa成分における抗体のエピト-プを決定することを試みた。155kDa成分をサ-モライシンにより限定加水分解するとまず130kDaさらに120kDa以下の小さなフラグメントができた。抗体と反応する10kDa以上の高分子量成分としては130kDaのみが認められた。キモトリプシンによる限定分解ではサ-モライシンと同様の反応のほかに抗体と反応する35kDa成分と反応しない120kDa成分への分断反応も生じた。35kDa成分はすぐ分解消失し120kDa成分はさらに100kDa成分に分解した。またトリプシン分解では分子量約60kDaの成分が残った。キモトリプシン断片100kDa成分についてN端側をシ-ケンサ-で分析しすでに決定済みの155kD配列と比較検討したところC末端まで904残基の分子量100423とよく合うので断片100kDa成分は155kDaのC末端まで含んでいると示唆される。35kDa成分について安定な調整法を確立しアクチンと結合するかどうかを調べたい。
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