研究概要 |
一般にミオシンと言えば骨格筋ミオシンに代表されるように、双頭・短尾の形態をとり、生理的イオン強度で尾部から集合しフィラメントを形成する性質を示すものを意味し、分子量は500K台のものである。この分子はその起源により多少の差異はあれ、200K台の重鎖と20K〜10Kの2種の軽鎖、それぞれ二つづつ合計6つのポリペプチドより成り立っている。現在では、このミオシンはミオシンIIはたは通常ミオシン(conventional myosin)と呼ばれる。ミオシンIまたはミニ・ミオシン(mini‐myosin)と呼ばれるものはこれとは性質を異にするもので新しいタイプのミオシン様蛋白質であり、単頭・短尾で集合性を示さないのが特色である。このミオシンI類似タンパク質は、脊椎動物より次々と得られる可能性があり、ニワトリ砂のう平滑筋粗抽出物より次のようにして新しいタイプのミオシン様タンパク質の候補として、130kDa蛋白質を得た。 ニワトリ砂のう高イオン強度抽出物をHPLCゲルロカ・カラム、ハイドロオキシアパタイト、つづいてDEAEセルロ-スを用いたカラムにより、SDS‐PAGE上ほぼ単一蛋白質にまで精製した。ATPase活性を種々の条件下で測定したところ、Ca^<2+>‐ATPase活性、K‐EDTA ATPase活性、Mg^<2+>‐ATPase活性及びactin活性化Mg^<2+>‐ATPase活性はそれぞれ、4.0,13.8,3.1及び9.5nmol/min/mg proteinであった。ミオシンの特色であるMg^<2+>‐ATPaseのactinによる活性化が認められた。 ここで強調すべき事は、ATPase活性が極端に低いことである。今後、i)必要なサブユニットが精製過程で失われたかどうか、ii)リン酸化又は脱リン酸化処理が必要であるかどうかにつき充分な検討を加え、130kDa蛋白質がミオシン様蛋白質であると決定したい。
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