研究課題/領域番号 |
03268215
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 利男 三重大学, 医学部, 教授 (00135443)
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研究分担者 |
中谷 中 三重大学, 医学部, 助手 (80237304)
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
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キーワード | カルポニン / 平滑筋 / プロテインキナ-ゼC / 蛋白質リン酸化反応 / アクチン / トロポミオシン / カルモデュリン |
研究概要 |
平滑筋の収縮機構については、従来よりカルシウム、カルモデュリン依存性ミオシン軽鎖リン酸化反応が張力発生との関係で注目されてきた。しかし、イノシト-ルリン脂質代謝の亢進に伴う収縮反応は、脱分極平滑筋のカルシウム収縮反応に比較して細胞内カルシウム濃度の低いところから認められることや、プロ、テインキナ-ゼCの活性化薬フォルボ-ルエステルによる血管平滑筋収縮反応の分子機構は不明である。一方技最近我々は平滑筋の新しい調節蛋白質であるカルポニンがプロテインキナ-ゼCの最も良い基質であることを明らかにした。カルポニンは平滑筋および非筋細胞からトロポニンT様蛋白質として同定された蛋白質で、平滑筋収縮機構における重要な分子であるアクチン、トロポミオシンおよびカルモデュリンに結合し、アクトミオシンのMgATPaseを阻害する。そこで、本研究では、プロテインキナ-ゼCによる平滑筋カルポニンのリン酸化部位とリン酸化による影響について検討し、カルポニンを介する新しい平滑筋収縮調節の分子機構を解明した。プロテインシ-クエンスとリン酸化アミノ酸の同定によりトリプシン処理により得られたリン酸化ペプチドは一つのリン酸化部位を持つ22kDaフラグメントと少なくとも三つのリン酸化部位を持つC端の12kDaフラグメントであった。さらに、22kDaフラグメントはカルシウム依存性にカルモデュリンと、カルシウム非依存性にFーアクチン、トロポミオシンと結合することを我々は見いだした。22kDaフラグメントのリン酸化はこれらの蛋白質に対する結合性を減弱させた。一方、12kDaフラグメントはこれらの蛋白質と結合しなかった。これらの結果は22kDaフラグメントの一ヵ所のリン酸化部位はプロテインキナ-ゼCによるカルポニンのリン酸化部位のなかで最も重要なリン酸化部位であるこが示唆された。
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