研究分担者 |
斉藤 泰弘 京都大学, 文学部, 助教授 (70115848)
片山 英男 東京大学, 文学部, 助教授 (70114436)
伊藤 博明 埼玉大学, 教養部, 助教授 (70184679)
西本 晃二 東京大学, 文学部, 教授 (00012352)
岩倉 具忠 京都大学, 文学部, 教授 (50093191)
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研究概要 |
本年度は研究報告を中心とした2回の全体会議がもたれた。第一回は平成3年7月20日に開催された。先ず上村清雄氏が「ジェンティ-レ・ダ・ファブリア-ノと15世紀トスカ-ナ芸術ーー自然表現を中心として」の報告において,ジェンティ-レの遠近法と影の表現がどのようにシエナ画派に影響したかを解明した。次いで榎本恵美子氏が「ケプラ-の形の考察ーー『新年の贈り物あるいは六角形の雪について』をめぐって」の報告において,ケプラ-は雪の形の科学的問題を考察しながら,この著作をプラハの宮延文化と密着した知的遊びとして執筆したものであるとした。さらに伊藤博明氏が「ルネサンスのヘルメス主義ーールドヴィコ・ラザレッリをめぐって」の報告において,ラザレッリのキリスト教的ヘルメス主義をフィチ-ノなどと比較しながら紹介した。第二回全体研究会は平成3年12月7日にもたれた。先ず羽片俊夫氏が「ガリレオ派の水理学ーーカステッリの『流水の尺度について』」の報告において,イタリアの水理学との関連でガリレオ派のCastelliのDella misura dell'acgua correnti,1628,Romaについて紹介した。次いで清瀬卓氏が「フィレンツェのネオ・プラトニズムにおけるダンテ注解」の報告において,ダンテ注解の伝統において,具体的な数値によって地下の世界を見る考え方がランディ-ノやマネッティあたりから登場したが,これにはフィレンツェのネオ・プラトニズムの幾何学的精神の影響が考えられるとした。最後に斉藤泰弘氏が「レオナルド・ダ・ヴィンチにおける自然表現」の報告で,絵画の背景に描かれた自然と,地球の歴史に関する理論との関係について紹介し,レオナルドの終末論的な大地水沒説について論述した。二つの研究会はともに本研究課題に関して,科学史の専門家と文学や思想の専門家が初めて本格的に討論した画期的な実り多き会であった。
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