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1991 年度 実績報告書

現代の状況における藝術体験とエ-トス

研究課題

研究課題/領域番号 03301006
研究機関東京大学

研究代表者

藤田 一美  東京大学, 文学部, 教授 (60065480)

研究分担者 西村 清和  埼玉大学, 教養学部, 教授
根岸 一美  大阪教育大学, 教育学部, 助教授
山縣 煕  神戸大学, 文学部, 教授
佐々木 健一  東京大学, 文学部, 教授 (80011328)
利光 功  玉川大学, 文学部, 教授
キーワード現代 / トポス / エ-トス / 原体験 / ポスト・モダン / ニヒリズム / 理解 / 共存
研究概要

本年度は総合研究初年度であり、各自が総合研究の全体的テ-マの下に個別的研究や資料の収集、調査を進める傍、参加者合同の研究会における研究発表や質疑応答を行い、現代というトポスにおける藝術体験の諸相への認識を深め、とりわけその所在と意味について自己を見失いつつある人間のエ-トスとの相関性についての知見を得ることができた。
研究発表としては、藤田が所謂ポスト・モダニズムの先駆者とも目されるニ-チュのニヒリズムの継受と変容という視点からエ-トス論を発表し、庄野が音楽を所謂〈藝術〉のトポスから〈デザイン〉のトポスへの移行における〈音への立ちあい〉という観点より捉え直すことを提案した。さらに利光は既にひとつのカテゴリ-として定着している〈コンセプチュアル・ア-ト〉をその原点に立戻りつつ批判的に吟味することによって現代的なインスタレ-ションへの視点を明らかにし、山縣は従来どちらかと言えば副次的とされていた精神医学的見地からの藝術への接近を積極的に試み、また佐々木は既に日常化している翻訳の問題をあらためて劇的世界の表現としての解釈という観点から〈理解〉における基本的な問題へと還元して新たな文化的問題を開示した。
何れの発表にも通底していることは、現代を捉えるパラダイムが豊富であるにも拘わらず、その割には我々の当面の課題である藝術もエ-トスもまた現代というトポスも極めて分り難くなっており、また多様な現象が同時に並行しているかに見えるためシュノプシスを得ることが一層因難になってきているということである。それ故逆に我々としては、方法やパラダイムを逆に簡素化し、事態を率直に読む学問的態度へと自らを還元してゆかなくてはならないということである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 藤田 一美: "言葉の》明らかさ《と》確かさ《について" 哲学雑誌. 106ー78. 1-18 (1991)

  • [文献書誌] FUJITA,KAZUYOSHI 藤田 一美: "Ein Versuch der synoptischen Auslegung von der Kosmologischen and ethischen Philosophie bei Nietzsche II" JTLA(Journal of Faculty of Letters,The Univ.of Tokyo,Aesthetics). 16. 89 (1991)

  • [文献書誌] 利光 功: "コンセプチュアル・ア-トについて" マトリックス(東海大学芸術研究所紀要). 10. 1-10 (1992)

  • [文献書誌] 佐々木 健一: "ドン・ジョヴァンニと女たち" 文学(季刊・岩波書店). 2(第4号). 63-80 (1991)

  • [文献書誌] 佐々木 健一: "翻訳原論" 文学(季刊・岩波書店). 3(第1号). 31-43 (1992)

  • [文献書誌] 小穴 晶子: "音楽美学の用語としての性格(caractere)概念の確立をめぐってー18世紀フランスの音楽思想を中心にー" 東京大学文学部美学藝術学研究室紀要「研究」10,1991. 10. (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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