研究課題
総合研究(A)
“イエ"ないし直系家族が個人の生活を全面的に支え、かつ抑制していた時代は漸次過去のものとなりつつあり、家族から個人が或る程度独立した生活が生まれつつある今日、家族以外のどのような関係が、個人の生活の中でウエイトを占めているかを問う必要がある。個人がかかわっている関係は、大別してフォーマルな関係とインフォーマルな関係に分かれる。インフォーマルな関係のなかで、家族が占める割合、重要性は依然として大きいが、友人・近隣・家族以外の親族もサポートシステムの中に位置づけることができる。また、フォーマルなサービスは、わが国の場合、インフォーマルなネットワークに欠けている部分を補っているとはいえ、サポート資源として充分整備されていないために、どうしてもインフォーマルな資源、とくに家族に依存せざるをえない現状にある。その意味では役割専門化モデルよりは、上下補償モデルが充当するという状況だといってよい。われわれは、日本の都市の中で、フォーマルなサービス資源が地域的にもっとも豊富である武蔵野市に居住する60歳から80歳までの男女を面接調査したところ、福祉公社の利用度は、全体としてみれば少ない。そして、比較的所得の高い層に恵まれた地域であるために、自立度も高い。しかも,ネットワーク資源も豊富な高齢者の割合が高い。インフォーマルなネットワークの中で、男性に職場および学校を媒介とした友人、女性の場合は、学校およびサークルを媒介とした友人が挙げられており、いずれも、その量と質の濃密さが伺われた。
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