研究課題
掘削装置では、機械工学を専門とする研究分担者が遺跡発掘作業を観察し、発掘作業者の意見を聞くことにより、発掘作業現場への掘削機械の導入の可能性やその方法を探った。ヒヤリングを含む現場調査の結果、1)最上層の表土除去に用いる遺跡発掘専用のパワ-ショベル 2)表土除去後遺構面までの撹乱層の除去に用いる小型自走スクレ-パ- 3)掘削土を遺構面から搬出するための小型軽量ベルトコンベアの開発が必要であることが判った。特に、2)については、この作業が発掘作業の中でも時間的、労力的に占める割合が大きいにも関わらず、現状はクワやスコップを用いた手作業であるため、小型自走スクレ-パ-の開発により、大幅に発掘作業労力が軽減され、作業時間の短縮が計れるとの結論に至った。そこで、この自社スクレ-パ-の実施的な設計を行い、製作可能なまでの設計図として作成し、本研究の成果のひとつとしている。測定装置では、現場調査の結果、効果的な装置の条件として、1)多数の点の三次元測定が行えること 2)人が持つ装置は小型軽量であること 3)屋外、日中の測定が可能なことがあり、これらの機能を満たす装置では、光を用いた三角測量の原理を応用する方法が適している。測定方法として、1)測点に発光装置を置き、発光部を発掘区域外に設置した複数のTVカメラで測定する 2)発掘区域外に発光装置とTVカメラを置き、測点には反射板を取付け、発光源、反射板、カメラで構成する三角形で三角測量を行う。いずれの場合も、光を振幅変調して、それ以外の光との区別が必要となる。これらの測定条件に基づいてハ-ド・ソフトの両面から装置を検討した結果、双方ともに既存の技術で開発が可能なことが判明した。本研究の成果を踏まえ、さらに研究を継続発展させるために、平成4年度文部省科学研究費試験研究A 課題:発掘調査支援機械システムの試作研究(代表 鈴木嘉吉)として交付を申請中である。