研究課題/領域番号 |
03301056
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋 早稲田大学, 教育学部, 教授 (60063591)
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研究分担者 |
橋本 能 中央大学, 商学部, 教授 (50119426)
戸口 民也 長崎外国語短期大学, 教授
藤井 康生 大阪市立大学, 文学部, 教授 (00047169)
井村 順一 東京大学, 教養学部, 教授 (00012328)
佐藤 実枝 早稲田大学, 文学部, 教授 (40063531)
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キーワード | フランス / 演劇 / 16,17,18世紀 |
研究概要 |
我々の研究費補助金採用は追加が決定されたため、その交付は時期がかなり遅く(平成3年11月),実質的な研究期間は4カ月と極めて少なかった。そのため研究がはかばかしくは進展しなかったことを告白せざるを得ない。それでも、12月24日(火)には地方からの研究分担者も参加して、現在の16、17、18世紀の演劇研究の動向、今後の演劇表現研究の方向づけなどについて活発に討議した。演劇表現という言葉で表されるものは広いが、あまり枠を定めずに各研究者の関心事をそれぞれ探究し、それを総合するということで方向づけができた。演劇理論、戯曲形態、舞台表現の三本柱に分けるなどの枠づけをすると、各研究者の自由な発想の研究成果が損なわれるからできるだけ区分は避けたい。 16〜17世紀の悲劇、悲喜劇に多く見られる「スタンスstance(一種の叙情詩)」も18世紀になると消滅している。それは18世紀には、古典劇時代の「真実らしさvraisemblance」をより多く求めたからに他なるまいが、このように16世紀、17世紀の表現と次の18世紀の表現形式とにつながらないものも多いし、逆に17世紀と18世紀に見られる心理描写などの作劇法dramaturgieは16世紀にはまだ存在しなかった。このように各世紀間の共通点、相異点を綿密に調査分析する必要がある。 そこで、今後はまず戯曲の中に現れた「修辞法rhetorique」の違いから考察する。そのために、フランスの国立図書館に未刊の戯曲のマイクロフィルムを注文しているー注文が遅かったのでまだ到着していないーが、これらが到着次第、購入できたプリント版と合わせて、詳細に分析したい。機械器具として購入したスキャナ-も、その時に大いに本領を発揮して活躍してくれるだろう。
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