研究課題/領域番号 |
03301063
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
黒木 三郎 早稲田大学, 法学部, 名誉教授 (80063189)
|
研究分担者 |
諏訪 哲郎 学習院大学, 文学部, 教授 (00129222)
中山 和久 早稲田大学, 法学部, 教授 (80063345)
青木 宗也 法政大学, 法学部, 教授 (00060955)
小林 孝輔 札幌大学, 法学部, 教授 (50082681)
利谷 信義 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40013015)
|
キーワード | 法律用語 / 近代化 / 少数民族 / 法文化 / 紛争解決 / 多重構造 / TRANS-NATIONAL / 比較対照 |
研究概要 |
今年度も昨年度に引き続き、財産法及び身分法上の法律手続きに際しての、法律用語の異同を確認するための作業を行った。また法令集、判例集等の原資料の収集を継続して行ない、中国、台湾、韓国、タイについては80%以上成功した。そのほか、アジア地域の法制度を継続的に研究している国内各地の大学、研究機関及び法律学者と連絡をとり、資料の収集を行なった。 個別研究が各専門分会別に進められた。(1)韓国・台湾部会では、かつて導入された日本法の影響が現存でも経済法制の根幹部分に残っていること、また地方で、伝統的な儒教文化が、特に少数民族の法文化のなかに根深く生きていること等が報告された。彬国における30年ぶりの民法改正(1990年)は伝統的慣習の近代化を強く志向し、台湾では、孫文の「平淡地権」制度の再評価が行われている。(2)中国では、近年の経済改革の進展に伴って、「民法通則」が新たに制定され、また製造物責任、無過失責任等の考え方も取り入れられた。しかし法があっても守られないという現象は依然広くみられ、特に少数民族において、法よりは、伝統道徳、話合いを重んじる風潮が強い。また(3)東南アジア諸国では、移入された西欧近代法と固有法の分化、その調整のための法(インドネシアの「人際法」)の生成、そして非公敬法による紛争解決の伝統等が重なりあい、複雑な多重構造もつ法体制が形成されている。現在では、これら移入法とも固有法とも異なる、新しい法体制が各国で整備されつつある。 各研究部会の報告を受けて、全体部会では、現代アジア法の解明のためには、従来のINTER-NATIONALな視点からではなく、TRANS-NATINALな視角からの分析と検討が必要とされることが共通の認識となった。そしてかかる視点から、あらためて各国の基本的な法律言語を調査・比較対照し、整理する作業を行った。しかし、アジア諸国における多言語の併存状況は標準的な語彙の確定を難しくしている。
|