研究課題/領域番号 |
03301070
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 毅 東京大学, 法学部, 教授 (90009803)
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研究分担者 |
森 政稔 筑波大学, 社会科学系, 専任講師 (70200384)
小野 紀明 神戸大学, 法学部, 教授 (10116197)
坂本 多加雄 学習院大学, 法学部, 教授 (90137886)
飯田 文雄 神戸大学, 法学部, 助教授 (70184356)
川崎 修 北海道大学, 法学部, 助教授 (80143353)
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キーワード | モダニズム / ポスト・モダニズム / 自由主義 / 比較思想史 / 現代政治思想 |
研究概要 |
本研究は、今世紀後半、とりわけ1970年代以降台頭した、ポスト・モダニズムの諸議論が、先進諸国の政治思想・社会思想に対して及ぼした影響について、日本・アメリカ・ヨ-ロッパの政治思想を主たる素材に比較検討するとともに、ポスト・モダニズムによる諸批判を前提として、モダニズム自体をも再考察することによって、現代政治思想全体の特色と問題点を解明することを目指すものである。研究計画の初年度に当たる平成3年度は、当初の予定通り、国内・国外の関連文献・資料の収集、及び各研究分担者によるその内容検討と理論的分析を行うとともに、2回の共同研究会を開催することによって、日米欧3地域の現代政治思想の特色について比較思想史的な観点から全員が検討を加えた。その結果、ポスト・モダンの政治思想、あるいはひろく現代政治思想全体の重要な特色として、近代自由主議的な公一私区分の崩壊と呼び得る現象が確認されることとなった。即ち、社会的=私的領域から自律し、しかもそれに優位しつつそれを統制する政治的=公的領域の存在を承認することは、近代自由主義的政治思想の一つの重要な特色であるが、ポスト・モダンの政治思想においては、かかる自律的な政治的領域の存在は必ずしも自明の事態ではなく、例えば構造主義等に典型的なように、ポスト・モダンの諸論者は、政治の問題を、むしろ近代自由主義において私的=社会的とされた領域の中にこそ求めていると言えるのである。以上のように、本年度の研究を通じて、各地域のモダニズム及びポスト・モダニズムの共通性については一定程度明らかにされ得たので、次年度は、各地域の差異に重点を置きながら研究を続行する予定である。
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