研究課題/領域番号 |
03301071
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山影 進 東京大学, 教養学部 教授 (10115959)
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研究分担者 |
中堂 幸政 大東文化大学, 国際関係学部, 助教授
田村 愛理 東京国際大学, 商学部, 助教授
田中 明彦 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (30163497)
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キーワード | 遠隔地交易 / 近代国家体系 / 交易網 / 国際交流 |
研究概要 |
本年度は、内外関連研究の批判的検討と共同研究者の専門から遠い分野に関する知見を増すとともに、広域交易・国際体系ネットワ-クのデ-タベ-ス化のパイロットスタディを実施することをめざした。共同研究の場として定例研究会(毎月1回)の他に研究打合せ会合(随時)を設け、緊密な研究体制の下に初年度の研究課題を追求した。定例研究会の内3回は外部講師(岩附茂一アフリカ専門家、松井透一西洋経済史専門家、三木亘一中東システム専門家)を招いて共同研究に資する情報を得た。 本年度は、1.近代国家体系成立以前のヨ-ロッパにおける交易ネットワ-クおよびヨ-ロッパ近代国家進出以前の世界各地における交易ネットワ-クに関する実証的研究の収集と、2.交易ネットワ-クのグラフィックイメ-ジ(主として地図上の結筋点とル-ト)の整理とを進め、デ-タベ-ス化の基礎資料の蓄積をみた。研究の結果、交易ネットワ-クの相対的安定性は確認できたが、変動期におけるネットワ-クの動揺やネットワ-ク上を流れるヒト・モノ・カネの質・量を長期にわたり体系的に進測する史料がきわめて乏しく、しかも偏在していることが明らかになった。これはデ-タベ-スに入れる情報の質・量に関して制約が大きいことを意味する。言い換えれば、従来の交易史は断片的史料から大胆な推測に基づいてネットワ-クを描いていたことになる。また、デ-タベ-ス用システムの開発に関しては既存ソフトでは我々の意図する検索・プレゼンテ-ションが因難であることが明らかになった。デ-タベ-ス化は今後の長期的課題になろう。 次年度は、近代国家体系の拡大がもたらした広域交易ネットワ-クの変容を中心に研究を進めるとともに、デ-タベ-ス構築の基礎デ-タ型式を確定し、デ-タベ-ス化のための情報収集に努める。
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