研究課題/領域番号 |
03301071
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山影 進 東京大学, 教養学部, 教授 (10115959)
|
研究分担者 |
中堂 幸政 大東文化大学, 国際関系学部, 助教授
田村 愛理 東京国際大学, 商学部, 助教授 (50166584)
田中 明彦 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (30163497)
|
キーワード | 遠隔地交易 / 近代国家体系 / 交易網 / 国際交流 |
研究概要 |
本年度は、広域交易ネットワークについての知見を広めるとともに、分担研究の統合と共同研究の当面の完了をめざした。まず、共同研究者がカバーできない分野について外部講師から専門知識の提供を受けた。すなわち、メデーターベース設計(芝野)、古代中国(原島)、インド洋(家島)、近代中国(浜下)、中東(大塚)である。各氏の協力によりわれわれの知見を広め、深めることができた。また。昨年度から続けてきた分担研究テーマについて順次報告と討論を行った。近代世界システム論の系譜と展開(田中)、西欧金融資本の起源と制度化(中堂)、中東近代の帝国システムと交易(田村)、東南アジア海域世界の形成と交易(山影)である。いずれの研究も、自分のフィールドにおける交易ネットワークと国際体係との関連を探りつつ、周辺世界との関系の重要性を掘り起こした。 全体として、本研究は、近代国際体系のの拡大期(すなわち15世紀から19世紀にかけての期間)を世界併存状態から単一世界状態への「移行期」として把握することが認識上重要であるとの結論を得た。この移行期において、ヨーロッパ世界は、今日われわれが当然視している特徴を、内在的というよりはむしろ周辺諸世界との相互作用の結果として獲得するに至った。また、19世紀から今世紀にかけてヨーロッパ世界に呑み込まれるとされている諸世界においては、「移行期」に地域ごとの変容を起こしつつ、単一世界としての相互依存状態を今日生じせしめる土台を築いていた。 現在、最終報告書をまとめる段階にあるが、今後の課題として、今日の世界の理解する上で、「移行期」研究の深化が必要である点を強調したい。また、データベースについては、関連文献データベースを作成した。
|