研究課題/領域番号 |
03301076
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
篠田 武司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20115405)
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研究分担者 |
島田 克美 流通経済大学, 経済学部, 教授 (10187429)
奥村 宏 竜谷大学, 経済学部, 教授 (30169247)
龍 昇吉 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (00210823)
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キーワード | 法人資本主義 / 利潤主導型蓄積構造 / 日本的労働編成 / 企業集団 / 間接金融 / 企業国家 |
研究概要 |
今年度は戦後日本資本主義の蓄積機構の特徴をどのような枠組みで捉えるかについて、内外で出されている諸見解を視野におさめつつ検討した。具体的には、近年欧米で出されつつあるレギュラシオン理論、ソシオ・テクノロジ-理論、蓄積の社会的構造理論などによる現代資本主義分析を検討し、それらの成果を生かしつつ全体として日本資本主義の特徴を法人資本主義として展開することを解認した。日本資本主義の蓄積構造はなんといっても欧米の生産性ー賃金ー消費ー投資ー生産性という蓄積構造ーそれをいま賃金主導型蓄積構造といっておくならばーというより、生産性ー利潤ー投資ー生産性といういわゆる「投資が投資を呼ぶ」といわれた利潤主導型蓄積構造が60年代央以後に消費ブ-ムが訪れたとはいえ主たる特徴である。そして、こうした蓄積構造を支えた諸制度の中心に日本的労働編成がある。それは一言でいえば、強力な経営権の確立のもとでの協調的労使関係、いいかえれば会社本位の労使関係にもとづく日本的労働編成である。これが日本をして70年代危機を乗り切らせていった最も重要な要因である。しかし、そうした労働編成は実は日本的企業関係によって、つまり株式持ち合いによる企業集団、あるいは系列によって補完されたものである。そして、このことは従来のいわゆる日本的経営論が見落として点である。そして、この企業集団が、またそれと不可分に発展したメインバンク制が事実上、日本に固有な日銀による間接金融体制を促してもいった。国家は先きの蓄積構造をさらに強めるようなより開発的・企業国家的な国家である、こうした全体を我々は法人資本主義と名づける。そして、次年度は引き続きこうした法人資本主義が70年代以降どのように再編されていったかをさらに深めることが課題となる。
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