研究分担者 |
陳 光輝 滋賀大学, 経済短期大学部, 助教授 (00188509)
加藤 弘之 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 助教授 (70152741)
松永 宣明 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 助教授 (80127399)
林 忠吉 神戸国際大学, 経済学部, 助教授 (10131567)
西島 章次 神戸大学, 経済経営研究所, 助教授 (70116234)
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研究概要 |
1.最貧国が工業化を目指す場合,以下の条件を整備しておく必要がある。(1)国内農業セクターの開発(農地改革等を通して農民を豊かにする),(2)一次産品輸出による外貨獲得能力の獲得,(3)人的資源の学習能力の向上 2.最貧国が工業化を開始する場合,中小企業を活用することが肝要であり,その際にはわが国で労働集約的軽工業部門の「産地中小企業」が果たしてきた役割が参考になる。 3.多くのアジア最貧国は,政府主導から市場経済的な開発戦略へと転換しつつあるが,この転換に成功するためには,諸々の分野での経済改革が必要である。ラテンアメリカの経験によれば,その実現にあたって最も重要な条件は,政治的安定化と政策間の整合性を図ることである。 4.現在,アジアでは日本,NIES,ASEAN諸国間の相互依存関係がかつてなく高まっており,この強い相互関係に基づいた経済発展のダイナミズムは,中国,ベトナム,ラオス等の周辺国にも及んでいる。ベトナム,ラオス等の最貧国の経済開発においても,この地域における発展ダイナミズムの波及は決定的に重要である。 5.最貧国が経済開発を進める際,既存の制度や慣習の破壊や変容は不可避である。特に,市場経済への移行を目指す場合,新たな制度や秩序が確立するまで混乱と社会的矛盾は避けられず,一時的統制の復活や移行過程の減速が必要になる。 6.漸進的な市場経済への移行を成功裏に遂げつつある中国において,価格体系の歪みを計量的に明らかにすることは,その適用可能性から見て,同じく社会主義国であり,かつ市場経済移行を目指しているモンゴル,ベトナム,ラオスにとって極めて重要である。
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