研究課題/領域番号 |
03301087
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳沢 悠 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20046121)
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研究分担者 |
大野 昭彦 成蹊大学, 経済学部, 助教授 (20176960)
水島 司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (70126283)
中里 成章 神戸大学, 文学部, 助教授 (30114581)
谷口 晋吉 一橋大学, 経済学部, 教授 (50114955)
清川 雪彦 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60017663)
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キーワード | インド経済史 / 農村工業 / 製糖業 / 適正技術 / 大量史料分析 / 農村階層構造 / 疫病 / 家族史 |
研究概要 |
1.平成3年度(1991年度)の史料収集と分析に基づき各自が論文を執筆し、92年7月のロンドン大学アジアアフリカ学院で行わなれたワークショップに提出し、英・米・印の約15名の研究者と討論を行なった。ロンドン・インドなどから、大量のマイクロフィルム史料を入手し、その焼付けと分析を行なった。また、研究打ち合せの会合を開き、18世紀南インドの農村構造を検討したほか、各人の論文の書直しについて検討した。 2.これらのワークショップや研究作業を経て、以下の点が明かとなった。 (1)インド在来製糖業は、労働吸収的な適正技術をもって工場制製糖業に対して競争力を維持したこと、この点で日本・台湾などの製糖業との比較が重要であること。農業においても、労働集的小農生産の発展という点で日印間の同一性と差異があり、これらの比較が重要である。 (2)電算機を使用したインド村落史料分析を通じて、前近代インドの地域的再生産単位が、地域間交易の展開とともに縮小・崩壊し再編された。イギリス地税制度の影響もこうした変化の中に位置づけることができる。 (3)南インドの小作立法の成立過程で、家族制度の変化などが重要な意義をもっていた。インドの飢饉と疫病との関連では、マラリヤの発生が重要な媒介環をなしていた。インド経済史の理解にとって、これら家族史や疫病史の導入による新たな視角の指示が重要である。 (4)東インドにおける、18世紀における富農階層の成立と、20世紀における階層関係の変化の地域的類型が明かとなった。
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