研究課題
本研究においては、腎移植治療において看護者が直面している問題並びに彼らが果たしている役割を、道徳倫理的側面から捉え、今後の実践の方向づけを行うことを目的としている。平成3年度は8月〜10月にかけて本調査用の質問紙開発のためエキスパ-トナ-スを対象として聞き取り調査を実施した。東京、名古屋、大阪などで腎移植センタ-機能を担っている病院6施設、19名の看護者に対する面接により情報を得、これをコ-ディングし、内容分析を行った。結果として看護者は患者よりむしろ医師をadvocateする傾向にあり、現場にはあまり倫理的な問題は生じていない思っていること、患者の精神的な問題にはむしろ踏み込まずに仕事をしており、特に家族ドナ-の迷いや苦悩にはほとんど立ち入っておらず、それを患者、家族のプライバシ-として合理化していることなどが特徴的な問題としてとりだせた。この分析により看護者が直面している移植医療の問題を明らかにできるような、回答者の基礎情報13問、移植看護ケアの現状に関する質問90問、事例4例からなる質問紙を開発した。全国48施設の腎移植ケアに関わったいる看護者全員と、対照群としてほぼ同数の腎移植以外の外科に勤務している看護者を対象として、現在質問紙調査を行っている最中である。今後、この質問紙調査の結果に対し道徳倫理的視点より考察を行い、独国の看護倫理をつくる基礎資料とし、現状を改善するために必要な提言を行う予定である。平成4年度はこれらの結果を基礎とし、倫理的実践システムに関する国際調査を行う予定である。
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