研究課題/領域番号 |
03301098
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
長岡 顕 明治大学, 文学部, 教授 (50061990)
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研究分担者 |
楠 貞義 関西大学, 経済学部, 教授 (30067714)
深沢 安博 茨城大学, 人文学部, 助教授 (60136893)
戸門 一衛 神田外語大学, 外国語学部, 助教授 (30188718)
間宮 勇 明治大学, 法学部, 講師 (00202333)
松橋 公治 明治大学, 文学部, 教授 (30165849)
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キーワード | 内需の低迷 / 失業率の再上昇 / 低価格車の生産拠点化 / 電気通信産業部門 / キャツチアップの失敗 / 施設農業化 / 外国人労働者の受け入れ / 価格管理 |
研究概要 |
80年代スペイン経済の発展要因である「イベント特需」の冷え込みで、92年末期より景況が悪化し、93年では他のEU諸国同様に、不況、内需の低迷、失業率の再上昇に見舞われた。92年にいたるまでの外資主導による自動車生産の拠点化は、独・仏への輸出に依存しながら進展した。また、低価格車を中心とした国内需要の伸びも見られ、南欧向け低価格車の生産拠点化にも拍車をかけた。しかし同時に外資間での競争も激化し、近年では日本メーカーの資本引上げなども日程に上り始めている。 同国産業発展の大きな障害ともなっていた電気通信産業部門では、EUのスケールメリットの追求政策に同調し、規制緩和を実現させた。自動車と同じく外国メーカーが事業展開をしたが、急速に進む技術革新のキャッチアップには成功していない。 農業の新主産地は、徹底的な施設農業とEU内輸出路線を実現・確立させ、地中海沿岸部を軸に形成された。しかし環境問題とコスト高とEU内競争の激化によって、90年代に入ってからは競争力は鈍化している。さらには、農業部門と南部の高失業率が改善を見せない中で、また依然として季節労働者として仏に南部から農民を送り出している中で、低コスト維持のためにマグレブ諸国などから外国人労働者を受け入れており、社会問題化している。 労働生産性の向上をともなわないかたちで労働条件をEU先進国並みにしたために、雇用の新規創設が進まなかった。それらを視野に入れつつ社会協約が結ばれたが、失業の解消には直接には有効ではない。EUの厳しい価格管理がますます資本集約化と人員整理を押し進めるからである。スペインのEU加盟の大きな問題点が顕在化している。
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