研究分担者 |
野口 和人 東北大学, 教育学部, 助手 (40237821)
西村 章次 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60008729)
堅田 明義 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60015435)
鈴木 宏哉 茨城大学, 教育学部, 教授 (70015436)
清水 貞夫 宮城教育大学, 教授 (20006464)
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研究概要 |
軽度精神遅滞児は精神遅滞児の多数を占めており,その教育をどう行なうかという問題は精神遅滞児の教育問題の中できわめて大きな位置を占めている.しかし,養護学校義務化以降,重度精神遅滞児が精神遅滞児に関する教育及び研究領域で注目を集めるようになる一方,軽度精神遅滞児に対する関心は相対的に低下している傾向は否めない.そして,「特殊学級」で教育を受けている,「軽度」精神遅滞と認定されている児童の数が実際に減少している.これらは,軽度精神遅滞児が特別な教育的ニーズを持ちながら省みられない存在となってしまっている可能性、彼らに対して適切な教育的対応が公教育として行われていない可能性を示唆する. そこで、我々はまず、軽度精神遅滞児の定義を改めて議論することにした。これは、最近注目を集めている学習障害と軽度精神遅滞児との関係を明確にする上でも是非とも必要なことであった。続いて,軽度精神遅滞児をめぐる現在の教育の実態について,特殊学級の現状の把握と後期中等教育段階での教育的対応の現状の把握を試みた.教育的対応の現状と問題把握は,障害児教育の改革に関する議論とそのひとつである「通級制」の制度化に関する議論へと進展した.そこでは,諸外国での軽度精神遅滞児への教育的対応の把握が必要であった.また,これらの議論のベースには軽度精神遅滞児の教育的ニーズの明確化が不可欠であり、我々は,1)社会的な観点,2)心理生理学的な観点,3)発達的な観点からのアプローチにより,教育的ニーズの明確化を試みた.つまり,学校システムにおける教育的介入と教育的サービスのあり方,遅滞の病理と知的機能の停滞をもたらすメカニズム,健常児と軽度精神遅滞児との間の発達経過と認知構造の類似点と非類似点を把握しようと試みたのである.そして,最後に,教育的対応の直接的な場である授業の評価に関して,若干の方法論的提言を試みた.
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