研究分担者 |
前島 信 慶応大学, 理工学部, 教授 (90051846)
舟木 直久 名古屋大学, 理学部, 教授 (60112174)
西尾 真喜子 神戸大学, 理学部, 教授 (80030758)
杉田 洋 九州大学, 教養部, 助教授 (50192125)
楠岡 成雄 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (00114463)
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研究概要 |
平成3年度にひき続き確率解析の手法の数学的内容の深化とその応用を図るという研究目的に沿った申請書記述の研究実施計画に従って以下のシンポジュウムが予定通り実施された: (1)複素・確率解析 (2)数理物理とその周辺 (3)分布論に関する話題 (4)工学・経済学と確率解析 (5)アルゴリズム,フラクタル,および力学系 (6)確率過程とその周辺 (7)フラクタルとその周辺 (8)マルコフ過程における確率解析 このうち(1),(2),(4)は確率解析の確率論以外の分野への応用とその中での発展を図るために特に企画され、国内外の関連研究成果の総合的reviewと近未来の発展方向の検討が成功裏に行われた。その結果、(1)では複素関数論への確率解析の応用とWiener空間上の正則関数というごく最近開始された分野に関し、(2)では量子カオス、流体力学的極限およびパーコイレションという物理学的テーマの数学的研究に関してそれぞれ重要で新たな知見がえられ、また(4)では制御理論,情報理論,経済学の各分野への確率解析的手法の有効性を示すいくつかの興味深い知見がえられた。そしてこれら若いテーマについての国内での研究が分担者を中心に着実に進行していることがうかがわれた。 (3),(8)は確率解析の確率論内部での独自の発展にかかわる集会であった。(3)では確率分布論、特に単峰性の問題、実関数論に現れる分布、極限定理に現れる分布について、(8)では拡散過程やjump型マルコフ過程にかかわる確率解析の具体的発展やそのDirichlet形式論との関連につき総合的で興味深い知見がえられた。 (5),(7)は前年度に引き続き確率解析のフラクタルや力学系への応用にかかわるものであり、とくにフラクタル上の拡散過程に関する著して知見の深化が認められる。 総合的大シンポジュウムとしての(6)には確率解析に関する最新の研究成果が集約されたが、確率論独自の理論発展と並んで他分野への確率解析的手法の有効性に示す数多くの知見が認められ、本研究の成果を確実に現す集会であった。
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