リニアーコライダーの物理

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03302016
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 梶川 良一 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022537)
• 研究分担者: 山田 作衛 東京大学, 原子核研究所, 教授 (70011658) ; 長島 順清 大阪大学, 理学部, 教授 (90044768) ; 木村 嘉孝 高エネルギー研究所, 教授 (00010794) ; 折戸 周治 東京大学, 理学部, 教授 (10092173) ; 岩田 正義 高エネルギー研究所, 教授 (80022698)
• キーワード: Japan Linear Collider(JLC) / 電子・陽電子衝突 / TeV領域の物理 / 超対称性粒子 / Higgs粒子 / TeV域の直線電子・陽電子衝突型加速器 / JLC用測定器の開発

研究概要

物理と加速器について開発研究を進め、それぞれの重点問題について検討グループを編成し、実験計画と測定器開発の具体的な検討を行った。小規模のテーマ毎の検討会を5回、20人規模の検討会を1回、40人規模の検討会を1回開催し、さらに80人規模の実験・理論合同の全体集会(JLC研究会)を1回開催した。検討のテーマとしては次のようなものを選び、
(1)標準理論の限界についての理論的研究。
(2)物理のシナリオ、0.3ー0.5TeV衝突で想定される実験。
(3)Topクォーク、超対称性粒子およびHiggs粒子探索。
(4)W-ボゾン、およびZ-ボゾンの精密実験
実際に測定器の性能を考慮したシミュレーション実験を行なってJLC実験のテーマに選定した。実験技術としては、
(4)測定器全体の概念設計と検出性能の検討。
(5)シミュレーション実験法、超高速処理法の研究。
(6)測定器エレメントの具体的検討。
とくにバーテックス検出器(固体検出器素子の開発研究)、トラッキング(精密トリガー、中央ドリフトチェンバー)、新型カロリメーター(電磁的、ハドロン)、粒子識別法などをとりあげた。加速器関係では、
(7)加速器と実験のインターフェース(とくに最終フォーカシング)
(8)偏極電子ビーム源の開発実験
これらは必要なルミノシティの達成、サブミクロンのビーム制御、高電流陽電子源、バックグランドの処理法、高偏極の電子ビームなど、実験のフィージビリティに直接関連するテーマとしてとりあげた。
これらの研究の要約を英文の建設案としてまとめた。最終年度には、2段階の建設計画を骨子とするJLC提案書を作成する予定である。

研究成果

• [文献書誌] JLC-Group: "JLC-I" KEK Report. 92-16. (1992)
• [文献書誌] A.MIyamoto,et.al.: "Proceedings of the Third Workshop.on Japan Linear Collider" KEK Proceedings. 92-13. (1992)
• [文献書誌] H.Iida,et al.: "Design of an intense positron source" KEK-PREPRINT. 92-56. 1-3 (1992)
• [文献書誌] K.Fujii,et al.: "Vector boson pair productions with a hard photon Emission" Prog.Theor.Phys.88. 103-110 (1992)
• [文献書誌] T.Ohmori,et al.: "Measurements of CP violation in B meson system and of sin^<**>2 theta-W by a polarized linear Collider on the zpole" KEK-PRERINT. 92-181. (1993)
• [文献書誌] K.Fujii,et al.: "Top at threshold in e^+e^- collisions:Experiments" KEK-PREPRINT. 92-159. 1-28 (1992)
• [文献書誌] N.Ishihara,et al.: "Position control table for FFTB final linses" KEK-PREPRINT. 92-89. 1-3 (1992)
• [文献書誌] K.Kawagoe: "New Physics at JLC" Proceedings of HEP Colliding Beam Workshop. (1992)