研究概要 |
地球や惑星を構成する物質のレオロジイは1970年代から実験的に研究されはじめたが、1980年代から精密なクリープ実験がMIT,ANU,UCSA,および東京大学グループ(唐戸.鳥海)によって行われはじめた。また、脆性領域での摩擦実験が嶋本.LoganらのTAMグループによって精力的に遂行され、重要な問題として、1、超高圧鉱物の流動特性、2、高圧鉱物の流動則の圧力依存性、3、鉱物の流動則のH2O分圧依存性、4、塑性.脆性不安定性、5、塑性一脆性転移領域での流動に関する構成方程式の確立、6、多相.多結晶体のレオロジイと構造形成、などが浮かびあがった。 この総合研究ではおもに超高圧鉱物のレオロジイを第一に計算機実験、第2に転位構造、第3に超高圧変形実験による流動則の確立、さらに多相多結晶体のレオロジイと構造形成の計算機実験がおこなわれた。本総合研究のなかで明かにされたことは、分子動力学法による超高圧かでの結晶転位の導入には極めて高速の計算機と長時間の計算時間を必要とすることである。具体的には200体で500Mfx0.1SECであることから、1000個の粒子系では100Mfで12.5sec/1stepとなる。ここで通常は1000-100000STEPの計算を必要とするので、スーパーコンピューターでさえも1-10日の計算時間を必要とする。したがって、専用の高速計算機をつくることが決定的であることが示された。 本研究ではこの目的のために高速のCPUであるインモス社製のトランスピューターT800を5個並列に連結した特殊並列計算機を自作しバックエンドコンピューターとして計算機に組み込んだ。このマシン概要は次図に示されている。この計算機の能力は10Mflops,100MIPSに達する。使用できるOSはparallel fortran(3LCo.)である。この計算機を用いての多体の実験は以下の論文に示されている。 本研究では超高圧鉱物であるざくろ石の転位構造に関する研究が進められた。とくに従来研究されていなかった転位の幾何学的性質がようやく決定された。この結果、以上に拡張した転位が観測され、転位の運動が極めて遅くなることの物理的理由の一部が判明した。
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