研究課題/領域番号 |
03302030
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷 泰弘 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (80143527)
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研究分担者 |
池野 順一 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10184441)
仙波 卓弥 福岡工業大学, 電子機械工学科, 助教授 (30154678)
柳 和久 長岡技術科学大学, 工作センター, 助教授 (80108216)
堀内 宰 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (20029185)
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キーワード | 超精密切削 / 硬脆材料 / ダイヤモンド / 延性モード / 切込み深さ / 加工変質 / 加工精度 / 形状計測 |
研究概要 |
超精密加工技術は、磁気ディスク基板,感光体ドラム,ポリゴンミラー,シリコンウエハなどのような民生品の加工にとって重要な技術であり、こうした製品を製造する産業分野が活性を極めている現在の日本において、その生産技術が諸外国に比較して進んでいる分野の一つである。しかし、日本における超精密加工技術の適用範囲は、上記のような比較的小型の軟質材料の製品の加工に限られており、宇宙・航空の分野で使用されるX線望遠鏡のミラーに代表されるような硬脆材料の大型部品の加工技術に関しては、国内に需要がないためにアメリカ・ヨーロッパの研究開発に遅れをとっているのが現状である。このような製品は単品生産に近い形態で生産が行わ れるため、最も形状創成の精度が高いダイヤモンド切削により最終仕上げ状態に近いところまで仕上げたいとする要求が強い。このため、このような硬脆材料を延性モード状態で切削を行い、クラックフリーでダメージの少ない面を得ることが望まれている。 しかし、この加工技術を実用に供することができるようにするには、(1)安定して微小な実切込みが実現できるようにする、(2)加工機械の剛性と運動精度を高める、(3)ダイヤモンドバイトの切れ味と耐摩耗性を高めるなどの加工に関連する技術と、(4)微小な切削溝形状を高精度に計測する、(5)加工面のダメージを高派度に評価するなどの周辺技術を確立することが必要である。本年度は、現状の加工技術や評価技術について検討を行った前年度の研究成果を受けて、次世代超精密加工技術の基盤技術として重要な工具の微小切込み制御技術や加工面の高精度な評価技術について検討を行った。すなわち、加工技術に関しては、高派度な微小変位計と 圧電アクチュエータを用いることにより、軟質金属の超精密切削加工面を参照面とした工具台の微小切込み制御技術を確立した。加工面の評価技術に関しては、4分割フォトセンサを用いたオンマシン形状精度測定技術を開発した。また、AFMを用いた加工面の幾何学的表面性状の評価について検討を行うとともに、超音波顕微鏡を用いて加工面の変質を高分解能に検出するために異方性検出用音響レンズを開発し、軽度な加工変質に対してる評価が可能となることを示した。
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