研究課題
総合研究(A)
最近、生体の味覚・嗅覚機能を模したセンサを作り、味や匂いの識別と客観的計測を実現しようとする研究が盛んである。本研究は、この分野の研究者の情報交換により、味、匂い計測システムの実現を促進することを目的とした。平成3年度は2回の研究会を開き分担者の研究を中心に紹介し、研究の現状を調査した。すなわち栗原は味覚、嗅覚の研究状況、岡畑は2分子膜の分配係数について匂い分子の化学構造があたえる影響、森泉は水晶振動子に吸着膜を塗りガスセンサ群を作り、この出力パターンより匂の識別を行うシステムの開発状況、都甲は各種の2分子膜を塗った電極の電位や電流の出力パターンから味を識別するシステムを説明した。油水界面に発生する不安定性を用いる化学センサについては吉川が詳しく解説し、川久保、沢田、森泉が最新の実験を紹介した。その他、半導体ガスセンサの機能改善法について白江、平中、森泉が、半導体の表面光電効果と表面プラズモン波、弾性波を用いたバイオセンサについて勝部と塩川が、マルチ蛍光スペクトルを用いた化学センサを相沢が紹介した。平成4年度は3回の研究会を開き、合原はカオスの基礎と神経情報処理系における機能について、山崎は2種の感覚情報を統合し認識能力を高めるセンサフュージョン技術を紹介した。次いで分担者以外の講演による調査に移り、外池(大阪電総研)による嗅覚生理研究の現状、脳波を用いた嗅覚系応答に関する研究、和智(高砂香料)からは匂の材料、分子構造、調香に必要な匂の言語表現法と訓練法、神崎(筑波大学)からはかいこガのフェロモン受容、行動、生理、神経回路網の研究が紹介された。以上、2年間の研究の結果、味覚、嗅覚、受容機構、センサの原理、識別・認識アルゴリズム、人間感覚に近い特性をもつセンサの研究・開発状況などについて有益な情報が得られ、研究開発の促進に非常に貢献することができた。
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