研究課題
総合研究(A)
本研究は、社会資本の利用及び供給の実態について、生活基盤、生産基盤、国土保全基盤といった施設の種類別に整理を試みた。これにより我が国の社会資本整備の主要な問題点は、全体的に整備水準が低いことであるが、個別的には資の低い住宅が相当あること、住宅週辺の道路、下水道、公園などの居住環境施設の整備水準が低いことが指摘された。さらに、高速道路網と空港の不足、大都市における幹線道路の容量不足と総合交通体系の不備、治水面の安全性の低い地区が相当存在することなどが挙げられる。そして、国民の多くが経済活動水準の高さに比較して個人生活に関連する社会基盤施設の整備水準が低いことに大きな不満を持っていることが重要な問題であるといえよう。また交通整備制度や土地制度の歴史を振り返ることにより、これらの問題の原点を明らかにすることも試みられた。以上のような整理に加え、社会資本の需要予測法に関する検討を中心として行い、特に交通施設を対象としたモデル構築及びその検証を行った。より具体的には、道路の利用実態より、現状の道路網の信頼性及び有効性を評価するモデルの構築や、より精度の高い交通需要予測モデルの開発が行われ、社会経済活動の発展を促す交通の発生が、交通施設整備が不十分なためその一部が顕在化されておらず、総合的な交通施設整備を行うことにより、より高い社会経済活動の発展が期待されることが数学モデルに実際のデータを適用した結果明らかになった。本研究のまとめとしては、提案されたモデルは、現在導入が議論されている、「新社会資本」に対しても応用が可能であり、汎用性の高い社会資本整備の評価体系が構築できたと考えられる。
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