研究概要 |
林業労働災害の実態を林業管理組織区分から調査分析していくことを計画し,過去5年間を目途として,とくに作業員の死傷病記録を基に,国有林,民有林,大学演習林の3カテゴリ-に分け,調査をすすめ分担作業に入ることとした。 国有林関係は,林野庁が労働災害デ-タについて,直接の監督官庁であることからデ-タ収集がかなり容易に進展し,現在3000件以上のデ-タ収集が得られている。しかし,一方民有林関係は労働省の労働基準局が監督官庁となっていて,亊故災害の記録デ-タは企業と個人の秘密に関わることとして,デ-タ収集が難行し労働省との交渉を含めて大変苦労を重ねることとなった。実際には,地方労働基準局の対応も一様ではなく,デ-タ収集作業はデコボコの状態となっているが,度重なる交渉の結果,分担者間でできるだけ統一したフォ-マットに基づき,調査資料が入手できるよう,ようやくその見通しが得られる段階に到達した。なお,個人経営のレベルについても調査は難しいがデ-タ収集に務めている。演習関係は亊例が少ないようである。 調査の進行の程度とそのペ-スは,国有林関係のデ-タ分析が最も先行できる状態にあり,現在分析作業に入っている。したがって,研究成果の報告に関しては,デ-タ収集の経緯から現時点では発表できる段階には至っていないが,災害亊故の分析が間もなく進展することにより,(1),作業員の老齢化現象との関係,(2),亊故形態,状況を通し,安全対策のポイントをどこに絞ると効果的か,(3),亊故災害の減少に,新しい技術,新しい機械による対応がどのような意味をもってくるか,など,本研究テ-マの目標到達への分析と研究上まとめが今年一年で期待できると考えている。研究成果の公表は,今年秋の学会から順次可能と考えている。
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