研究課題/領域番号 |
03303002
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
戸田 芙三夫 愛媛大学, 工学部, 教授 (50036232)
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研究分担者 |
小林 啓二 東京大学, 教養学部, 教授 (50012456)
宮田 幹二 岐阜大学, 工学部, 助教授 (90029322)
境野 芳子 群馬大学, 教育学部, 教授 (70008142)
藤原 隆二 島根大学, 理学部, 教授 (10028847)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 包接結晶 / 不斉認識 / 光学分割 / アンモニウム塩 / ビスーβーナフトール / ビスフェナントロール / 水素結合 / キラルシフト試剤 |
研究概要 |
包接結晶中の不斉認識を利用する光学分割の研究は成功的であった。酒石酸から誘導したジオールホストは種々のキラルゲスト化合物の分割に有効であり、かなり万能の不斉認識剤であることが確認された。アセチレンジオール系ホストの不斉認識能はゲストの構造に依存するところが大きく、構造依存性が大きいと言う特徴を示した。この性質が分割に有利に働く事実も見出された。例えばジアセチレンジオールホストはプロスタグラニジンの合成原料であるヒドロキシシクロペンテノンの分割には無力であるが、上記ホストの2個のアセチレン基の間にパラ置換のフェニル基を挿入するとこの分割に極めて有効なホストに変った。又、ブルシンなどのアルカロイドがベンズヒドロール類の分割に有効であることが判明したことも優れた成果であった。最も興味深い成果はシンコニジンから誘導した四級アンモニウム塩がビスーβーナフトールやビスフェナントロールの分割に有効であるとの発見である。この包接結晶のX線構造解析結果は、アンモニウム塩の塩素陰イオンとフェノールの水酸基の間の水素結合が重要であることを示した。このような水素結合が包接結晶に重要な働きをしていることも大へん興味深いことである。 包接結晶中の不斉選択的な有機化学反応の研究においてもいくつかの価値ある成果が得られた。例えば、シクロヘキセノンやクマリンと光学活性ホストとの包接への光照射は、光学的に純粋な光二量体を与えた。又、アクリルアニリドの包接結晶への光照射は光学活性なジヒドロキノリノン誘導体を与えたが、この反応の不斉選択性もほぼ完全であった。シクロヘキセノンと光学活性ホストとの包接結晶にマイケル反応を行うとほぼ完全な不斉選択的マイケル付加反応が起こった。この反応は今後の発展が期待される優れたものである。
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