研究課題/領域番号 |
03304002
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
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研究分担者 |
岩熊 敏夫 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (60124335)
中本 信忠 信州大学, 繊維学部, 教授 (40109202)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (30018048)
有賀 祐勝 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017022)
高井 康雄 東京農業大学, 農学部・総合研究所, 教授 (40011796)
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キーワード | 生物圏保存地域 / 生物学的多様性 / 志賀高原 / 宮床湿原 / 赤井谷地湿原 / 生物生産量 / 植生図 / 土壌動物 |
研究概要 |
本研究は生物圏保存地域における生物学的多様性の保存のため、志賀高原など湿原を中心として生態系の総合的な調査研究を行い、生物学的多様性の総合化と必要な対策を検討し提言することを目的とした。 1)研究グループ全体会議及び合同調査を平成4年5月末日に、志賀高原・信州大学志賀自然教育研究施設周辺で実施した。 2)研究施設内で気球を上げ、上空600mから写真撮影を行った。撮影した写真を基に地上調査と組み合わせ植生図を作成した。5月末日と10月上旬に行った結果から、落葉樹、広葉樹などの識別が容易で、より精度の高い植生図の作成が可能であった。また、乾燥化の進む田ノ原湿原上空から撮影したの写真結果から、旧河川跡等が識別でき、土壌の水分環境特性がある程度推定できることが明らかになった。 3)人間活動の影響を受けていない長池とホテル排水などの影響を受けている丸池で水質、生物生産量の調査を行った。総生産量は長池で0.6gO_2/m^2/日、丸池で24.8gO_2/m^2/日、クロロフィルa量は長池で19.2mg/m^2、丸池で302mg/m^2であった。クロロフィルa当たりの活性は富栄養化した丸池の方が大きく、プランクトンの出現種類数は貧栄養の長池の方が多かった。人間活動の影響により生物学的多様性が滅声する傾向が認められた。 4)「おたの申す平」で大型土壌動物の調査を行った。1960年代後半に行われたIBPのさいの調査結果と比較すると、樹冠が抜けて、林床が明るくなり乾燥化したことが特徴的であった。土壌動物ではゴミムシ、コメツキムシ、ハネカクシ、ジムカデ、イシムカデが多くみられた。また固体数が少なかったが、ガロアムシもみられ、依然として自然度が高いことが確認された。 5)国立環境研究所グループは福島県宮床湿原、赤井谷地湿原について地形、気象、水文、植生、水質、水生生物などの調査を行った。湿原内の地下水の水温は少し離れた場所でも異なり、水の動きは複雑であるので、詳細な調査を行った。またコケ類について、18種の多様な種類が同定された。
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