研究課題/領域番号 |
03304002
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
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研究分担者 |
岩熊 敏夫 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (60124335)
中本 信忠 信州大学, 繊維学部, 教授 (40109202)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (30018048)
有賀 祐勝 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017022)
高井 康雄 東京農業大学, 農学部・総合研究所, 教授 (40011796)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 生物圏保存地域 / 生物学的多様性 / 大気降下物 / クロロフィルa / 大型土壌動物 / 底生動物 / 志賀高原 / 宮床湿原 |
研究概要 |
生物圏保存地域における生物学的多様性の保存のため、志賀高原など湿原を中心として生態系の総合的な調査研究を行い、必要な対策の検討を行った。 1)信州大学志賀自然教育研究施設内で大気降下物を1月ごとに採取し、主要化学成分と多環芳香族炭化水素を測定した。硫酸イオンの年平均濃度は0.88mg/lで東京都府中市での値の1/2以下であった。多環芳香族炭化水素のなかで化石燃料の燃焼由来と考えられる9種類の合計は4.0〜15.1μg/m^2/月であり、府中に比べ1/3〜1/4程度であり、人間活動の影響の少ない地域の値を反映していた。 2)人間活動の影響を受けていない長池とホテル排水などの影響を受けている丸池、琵琶池で水質、プランクトンの調査を行った。表層のクロロフィルa濃度は長池で5月に2.7mg/m^3、8月に13.1mg/m^3であった。長池で出現した植物プランクトンの種類数は丸池、琵琶池より多く、多様性に富んでいた。 3)おたの申す平で大型土壌動物の調査を行った。1960年代後半に行われたIBPのさいの調査結果と比較すると、ヒメミミズ類が非常に少なくなった。これは台風の影響で大木が倒れ、風通しと陽当たりが良くなり、土壌が乾燥化したことが原因と考えられる。しかしコメツガ、オオシラビソの原生林では、ヒメガロアムシなど自然度の高い地域に生息している種が採取された。 4)比較のため福島県宮床湿原において底生藻類、底生動物の多様性について調査した。出現した藻類種は93種類で、そのうち珪藻類が65種類であり、現存量も90〜98%と圧倒的に多かった。また、24種類のユスリカ成虫が出現し、カユスリカ亜科が多くみられた。オオヤマユスリカ亜科の一種は新種であった。これらは貧栄養水域から富栄養水域に出現し、高層湿原の池沼の特性に近かった。
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