研究課題/領域番号 |
03304010
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
冨永 佳也 福岡大学, 理学部, 教授 (70078591)
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研究分担者 |
三村 珪一 長崎大学, 教養部, 教授 (20039754)
宗岡 洋二郎 広島大学, 総合科学部, 教授 (40031330)
山口 恒夫 岡山大学, 理学部, 教授 (60000816)
渋谷 達明 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00015512)
江口 英輔 横浜市大学, 文理学部, 教授 (90046003)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 感覚受容の生理学 / 受容器の動的構造 / 感覚情報の統合処理 / 異種感覚間の相互作用 / 昆虫・甲殻類の脳 / 神経伝達物質 / 情報伝達系の可塑化 / 神経系の発生学 |
研究概要 |
行動は多様だが、神経系の単純な節足動物などの視覚系・嗅覚系・味覚系・機械受容系・湿度受容系を対象に、感覚器から中枢までの情報伝達・統合機構の一般性・特異性を究明する目的で、特に次の1〜4の問題点に狙いを定めて研究を進めた。多くの成果のうち特筆すべきものは次の通りである。1.受容器の動的構造 複眼視細胞で、F-アクチンが受容部の骨格構造を構成、細胞内光情報変換過程に関わる2種の蛋白質分子が受容部に局在し、その過程を調節する2種の蛋白質分子が受容部に近いSRCに存在することを示した。2.情報伝達処理の素過程 鱗翅目昆虫の視覚系で、完全変態時に幼虫の視髄ニューロンが成虫のそれへ再編入され、運動検知機能をもつことを証明した。一方嗅覚系では、フェロモン受容による行動解発を駆動する3群のニューロンを前大脳に発見し、その活動と行動の関連性を明らかにした。3.情報伝達路の可塑化 ハエで羽化後に起こる視覚機能の形成に関連する12種の蛋白質・ペプチドをみつけた。これとは別に、殆どの動物門を網羅した17種の動物から200種類以上の生理活性ペプチドを抽出・同定した。これらと感覚受容系の機能や可塑化との関連は今後の緊要課題である。4.異種感覚間の相互作用 甲殻類の体平衡反射に関与する前脳のスパイク非発火型巨大介在ニューロンが、視覚、重力感覚、自己受容感覚からの入力情報を処理しており、そのとき重力感覚入力を優先させるという機能的演算処理を行うことを発見した。シンポジウム開催 以上の研究を進めるに当たっては、途中で『昆虫の脳を探る』、『神経回路の発生・編成・再生』、『無脊椎動物の感覚受容系と中枢』、『生物活性物質と動物の行動』、『感覚機能発達の共通性と種特異性』と題した公開シンポジウムを5回開催し、研究の成果を問い広範な助言を得てきた。
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