研究課題
総合研究(A)
霊長類の成長の特性を形態及び生理の関連に重点をおいて明らかにするべく、収集された横断的及び縦断的資料の分析を行なった。ニホンザルでは、野生群の横断的生体計測値を用いて標準的な成長を明らかにする試みを行なった。その結果、体格が明らかに小さな幸島群と、大きな地獄谷群を除いた他の群の計測値を用いたほうが、この種の成長の特徴をより反映していることが示唆された。また成長速度等の変化をより詳細に検討するために、従来用いられている関数ではなく新たにスプライン関数を導入し成長曲線のあてはめを行なった。その結果、5次平滑化スプライン関数がよくあてはまることが明らかになった。24時間連続採血による血中GH及びIGF-1の分泌動態の検討の結果、GHでは思春期発動期に分泌のパルスが最も多くピーク値も高く、またIGF-1も日内変動を示すもののGHに比べ変動幅が小さく分泌が安定しており、横断的な調査にはIGF-1を指標に用いたほうがよいことも明らかになった。カニクイザルでは、横断的生体計測値の多変量アロメトリー解析を行ない成長に件う雌雄差を抽出することができた。縦断的生体計測値を用いてロジステイック式、ゴンペルツ式及び二次関数による成長曲線のあてはめを行なった結果、二次関数が最も適合した。更に、同じ計測値を相対成長の観点から分析した。その結果、メスはすべての計測項目において単相アロメトリーを示したが、オスでは、頭部の計測項目について2相アロメトリーであることが明らかになった。血中GH量を横断的に調査したところ、体重増加が認められる時期に一致して濃度の高値を示す個体が認められ、それ以降はそのような個体が見られなかった。チンパンジーでは、昨年明らかになった血液性状の年齢変化をより詳細に検討しALPの濃度は、0歳及び6歳にピークのあることが明らかになった。
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