研究分担者 |
長戸 康郎 東京大学, 農学部, 助教授 (10143413)
一井 眞比古 香川大学, 農学部, 教授 (50036076)
長谷川 博 大阪府立大学, 附属研究所, 講師 (00090457)
武田 和義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (90003516)
中川 弘毅 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (70009330)
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研究概要 |
1.根形質の評価基準の確立と遺伝子発現機構の解明:イネを中心に根の形態・生理および分化能に関する多数の突然変異体の獲得に成巧した。イネの根の形態異常突然変異は根の表皮細胞系および内部組織の突然変異と強く関連していることが判明した。オオムギ種子根由来のカルスにおける根の再分化率はカルスサイズと関係があり,再分化能を持たない小さな分裂中心では第5染色体が消失しやすいことが明らかになった。コムギにおける根の屈地性の評価法を開発するとともに,我が国コムギ品種間にみられる屈地性の地理的変異が在来品種から地方番号系統に至る段階で生じたことを明らかにした。イネの1生態型Buluが持つ根の屈地性は重力屈性によらず化学屈性によるものであることが示唆された。2.養分吸収と代謝:イネ硝酸還元酵素欠失突然変異体M819の硝酸還元酵素の欠失は1遺伝子劣性突然変異によるものであることが判明した。培地のK濃度を減らした場合,NaおよびMgの分配・吸収過程は作物によってかなり異なることが判明した。イネの塩素酸高感受性突然変異は硝酸吸収キャリアの変異ではなく,吸収を制御する機能あるいは吸収のエネルギ-に関わる変異によると考えられた。ホウレンソウの硝酸還元酵素cDNAを単離しその一次構造の一部を明らかにした。イネの1大粒突然変異遺伝子は根の活性の低下作用と登熟速度および枯上り速度の増大作用を持つと考えられた。3.ストレス耐性:オオムギの耐湿性および耐旱性は根圏の形態と関係のあることが示唆された。イネの耐冷性は根の量と無関係であることが明らかになった。耐塩性の機構を解明する第一段階としてNaの根から地上部への輸送経路について解析したところ,イネでは地上部Naの約30%が細胞間隙を通って輸送されることが判明した。
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