研究概要 |
16S rRNA塩借配列の決定.前年度に引き続き、各分類群の16S/18S rRNAの塩基配列の決定を行った。 真性細菌:Flavobacterium-Cyuophaga Complex(Cytophaga,Flavobacterium,Sphingobacterium,Flexibacter)、植物共・寄生性細菌および関連菌(Rhizobium,Agrobacterium,Bradyrhizobium,Azorhizobium,Sinorhizobium,Phyllobacterim,Mycoplana,Ochrobacterium,Chromobacterium,Azospirillum,Rhizomonas)、紅色非硫黄光合成細菌(Rhodospirillum,Rhodopseudomonas,Rhodobacter)、有胞子乳酸菌(Sporplactobacillus,Bacillus)、Pseudomonas属細菌(Pseudomonas)、Sphingomonas属細菌(Sphingomonas)、嫌気性グラム陽性球菌(Peptococcus)、乳酸菌(Leuconostoc,Lactobacillus)、放線菌(Catenuloplanes,Actinoplanes)。 古細菌:高度好塩菌(Halobacterium,Haloacula,Halococcus,Haloferax)。 真菌:Taphrina,Protomycesおよび関連菌(Taphrina,Protomyces,Saitoella)、担子菌酵母および関連アナモルフ酵母(Rhodosporodium,Leucosporidium,Cystofilobasidium,Mrakia,Erythrobasidium,Filobasidium,Filobasidiella)、射出胞子形成酵母(Ballistosporomyces,Bensingtonia,Kockovaella,Sporobolomyces,Sporidiobolus)。 これらにより次のような系統的知見を得た。 1)Flavobacterium-Cytophga Complexは12のクラスターに分かれた。そのうち、4クラスターはMK-6、8クラスターはMK-7で、キノン系は系統を反映していた。Sphingobacterium属は系統的に独立していた。 2)Rhizobium属とAgrobacterium属は互いに混在していた。Mycoplana属2種(M.bullta,M.segnis)はPseudomoans diminutaとクラスターを形成した。 3)光合成細菌は系統的にdiverseであり、非光合成細菌と互いに混在していた。特にRhodopseirillum属はdiverseであり、R.fulvumはMagnetospirillum属と近縁であった。 4)Peptococcaceae科に分類された5属(Coprococcus,Ruminococcus,Pepptoccus,Peptostreptococcus,Sarcina)の内、CoprococcusとRuminococcusのみが互いに近い関係にあった。Peptostreptococcus属は5グループに分かれ、この結果は細胞壁の分析結果と良く一致した。 5)Sphingomonas属8種はRhizomonas属へ移すべきことが示唆された。 6)射出胞子形成酵母は系統的に属としてまとまらなかった。よってこの結果は、分生子形成様式が系統的な類縁関係を反映していないことを示唆している。 7)Proteobacteriaについてsequence signatureを求め同定指針をまとめることができた。 2.塩基配列決定法の検討.より迅速な塩基配列決定のための、PCRーシーケンサー法の改良を行った。 3.分子系統解析プログラム.塩基配列データから分子系統樹を作成するための、パスカル言語で書いたコンピュータープログラムパッケージ(平成3年度に開発)の改良を行った。改良点:比較可能な塩基配列データ数の上限が70から100に増加。塩基の挿入・欠失による進化距離も計算される。
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