研究課題/領域番号 |
03304039
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
小栗 顕二 香川医科大学, 医学部, 教授 (40079934)
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研究分担者 |
横野 諭 香川医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (70106425)
谷口 吉弘 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066702)
柴田 瑩 徳島大学, 薬学部, 助教授 (40035556)
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
金品 昌志 徳島大学, 工学部, 教授 (80035617)
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キーワード | 麻酔薬 / 作用機序 / 膜 / 高分子 / 界面 |
研究概要 |
脂質二重膜における麻酔薬存在状態:麻酔薬分子はそれ自体は疎水性が強いが、オリーブ油やオクタノールのような溶媒に対する溶解度と麻酔強度との相関のほうがヘキサンやベンゼンのような溶媒に対する溶解度と麻酔強度との相関より強い。したがって、麻酔薬は脂質膜内部に潜り込むよりは膜界面に吸着の形で存在し、麻酔分子の数が増すにつれて内部への分配が増加することが予想される。このことは2種の分光学的プローブを用いた系で、Taftパラメーターであるπの低下とβの上昇によって解析できたし、その吸着の物性は活性炭界面への麻酔薬の吸着実験からも解析された。 膜における麻酔薬の分配とカットオフ現象:このような二重膜の熱誘起型相転移はゲルII相からゲるI相への前転移とI相から液相への主転移がみとめられる。麻酔薬の主転移における転移温度の降下作用は古くからみとめられているが、前転移と主転移とを比較すると、前転移降下の方が大きい。このゲルI相へも麻酔薬は溶解するが、この相への分配係数をK(G)、液相への分配係数をK(L)とすると、麻酔薬の強度と膜への溶解度の相関が正であるかぎりはK(L)は常にK(G)より大きい。しかし麻酔薬分子の炭素数がたとえば長鎖アルコールではウンデカノール(C11)以上になるとK(L)とK(G)の大きさは逆転する。つまり、麻酔薬のカットオフ現象である。 モデル蛋白の麻酔薬による構造変化:ポリL-リジンの麻酔薬環境におけるαヘリックス-βシート変換(揮発性麻酔薬では順行、アルコールでは逆行の変換)、αキモトリプシンの酵素反応の律速段階であるアシル過程の麻酔薬による非特異的活性化、など多様な知見が得られている。 麻酔薬メカニズム専門英文誌の刊行計画:佐賀における研究分担者研究集会では世界的にも少数でしかも学際的な研究者間の研究交流を高めるために定期的に雑誌を刊行する計画を練った。
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