研究分担者 |
伊藤 雄而 東京大学, 物性研究所, 助教授 (10013517)
橋本 竹治 京都大学, 工学部, 助教授 (20026230)
田巻 繁 新潟大学, 理学部, 教授 (80018259)
山口 泰男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005917)
遠藤 康夫 東北大学, 理学部, 教授 (00013483)
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研究概要 |
3ヶ年計画の初年度にあたる平成3年度は,当初計画通り主として熱中性子を利用する炉室内装置群(4G,5G,6Gビ-ム孔設置)を用いて,固体物理関係の諸分野に関する研究を重点的に推進した。関連する重要な研究課題として,高温超伝導関連物質を含む固体中のスピン構造とその励起に関する研究が行われた(6G)。 高温超伝導関連では電子注入型物質系について,特に磁気秩序相と超伝導相の相境界付近でのスピン相関の様相が詳しく研究され,これと現在迄に研究が先行しているホ-ル注入型のそれが比較分析され有用な知見が得られている。又同時に最近問題となっている高温超伝導物質の電子格子相互作用の役割を格子の側から調べるため構造相転移に関する研究が行われた。スピン系に関して今ひとつの大きなテ-マであるスピングラスなどランダム磁性体についても主として5Gビ-ム孔設置の装置を用いて研究が進展した。又,超ウラン元素の研究の展開を目ざしてU化合物の磁気相が研究された。 磁性物質とならびイオン結晶に関する研究でも種々の成果があげられている。従来金属,合金に限って知られていた形状記憶効果がイオン結晶においても観測され,その機構が高次構造との関連で理論的に解明された。又強誘電体をはじめ,生体物質の機能発現に重要な役割を担う水素結合系の動的性質に関する研究が4G,5Gビ-ム孔設置の装置を用いて行われ,水素結合間の陽子の運動について重要な知見が得られている。 一方実験利用棟内実験設備群に関して,特に重要な小角散乱装置(C1ー2ビ-ム孔),後方散乱装置(C1ー3ビ-ム孔)はともに順調にテスト実験を終了し,本年度最終サイクルより利用研究を実施できる見通しとなっている。従ってこれらの装置は来年度より予定通り本格的に高分子,生体関連物質など,ソフトマテリアル系の高次構造の研究に順次利用される見込みである。
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