研究課題/領域番号 |
03305003
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 保彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (00013524)
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研究分担者 |
伊藤 雄而 東京大学, 物性研究所, 助教授 (10013517)
山岡 仁史 京都大学, 工学部, 教授 (80026004)
山口 泰男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005917)
池田 宏信 高エネルギー物理学研究所, 教授 (90013523)
遠藤 康夫 東北大学, 理学部, 教授 (00013483)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 冷中性子散乱 / 高次構造 / 磁気構造と励起 / 高分子構造 / 蛋白質構造 / 液体構造と運動 / 超伝導と磁性 / 相分離構造 / Superconductivity / magnetism / Segregated structure |
研究概要 |
主に原研改造3号炉に設置した冷中性子、および熱中性子散乱用測定装置を用いて、広範な分野で見られる物質の高次構造と1次構造の関係、それらの構造や運動と物性や機能の関係を中心テーマとして研究を行った。 まず熱中性子散乱による高温超伝導体の研究では、214系銅酸化物の低エネルギー磁気励起が超伝導性と密接に関係したフェルミエネルギー付近のバンド構造を反映していることが判明し、123系のスピンギャップ出現に関する精密測定は妥当な理論的モデル検討に新たな指針を与え、さらに新しい炭酸基を含む超伝導体の合成に成功しその構造を決定した。磁性体の高次構造に関する研究では、フラクタル構造を持つバ-コレーション磁性体において長波長スピン波から単波長イジンククラスター励起へのクロスオーバー現象を初めて観測し、また微粒子の示す特異な磁性は微粒子中のスピン密度波の揺らぎによることを明らかにした。競合した相互作用を持つ三角格子反強磁性体、スピングラスと磁性電子の遍歴性、重い電子系などの研究も進展した。溶液・非晶質については、金属多価-カルコゲン系液体の示す金属-非金属転移に伴う連続的構造変化を観測し転移は電子的であることを明らかにし、また焼成過程におけるSiC繊維のSi-C振動エネルギーの変化を測定しその焼成反応機構を解明した。 冷中性子散乱による研究では、高分子三元ブロック共重合体の示す種々の凝集構造が明らかにされ、フリブタジエン混合系ではLCST型相図を新たに見いだし、また化学反応による架橋の相溶性に及ぼす影響、ゾル-ゲル相転移の機構が詳しく調べられ、さらに高分子膜では選択的に表面に集まった重水素化した高分子の構造解析が行われた。また、非弾性散乱の測定により広い時間スケールでの高分子鎖の1次及び高次構造の運動状態の研究が格段に進歩した。生体物質関係では、酵母産生ヒトB型肝炎ワクチン粒子を構成するタンパク質・脂質の存在様式が明らかにされ、膜間の電気化学的エネルギーの変換反応に関与するATP合成酵素の構造変化、リゾチーム結晶の分子レベルでの凝集会合構造の解明などに成功した。 一方、装置開発研究では、完全結晶を用いたLLL型干渉計による中性子スピン制御法、動的回析現象を利用したフォノンの固有ベクトル決定方法が開発され、また新しい2次元検出器として注目されている熱蛍光体検出器はほぼ実用できる見通しが付いた。
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