研究課題/領域番号 |
03305004
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
油井 大三郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (50062021)
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研究分担者 |
浅井 良夫 成城大学, 経済学部, 教授 (40101620)
西成田 豊 一橋大学, 経済学部, 教授 (50121629)
豊下 楢彦 京都大学, 法学部, 助教授 (90025156)
中村 政則 一橋大学, 経済学部, 教授 (30017529)
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キーワード | 連合国 / 占領 / 民主化 / 冷戦 / ヨ-ロッパ / アジア / 日本 / 国際比較 |
研究概要 |
本年度は、7月、9月、12月、3月の4回にわたり研究会を実施した他、関係資料の収集につとめた。収集した資料は、第2次大戦直後期の米国の対ソ、対仏、対比政策関係に関する一次史料をマイクロフィルムにより収集した他、各国の占領期に関する博士論文や研究書を幅広く集めることができた。研究会においては、比較占領史研究の方法論的検討を行った他、ソ連軍に占領された東欧諸国と北朝鮮の比較や日本における占領改革の諸側面の検討も行った。その結果、以下の諸点が明らかになった。第一に、連合国側は、大西洋憲章などで領十不拡大や民族自決の原則を公約しながらも、被占領国に主として軍隊を派遺した国がその国の改革に主たる責任をもつ(イタリア方式)という形で、事実上の「勢力圏分割|を行っていたこと。第二に、連合国は、ファシズム諸国に対しては、非ファシズム化の一環として民主化政策を推進したが、朝鮮やフィリピン等の旧植民地地域の場合には、ほとんど改革に逆行した政策をとったという対照的関係がみられたこと。第三に、日本やドイツの場合、「冷戦|の始まりと共に、連合国の改革政策は後退し、経済復興を優先させるという「逆コ-ス|の進展がみられるが、その結果、旧勢力が復活し、占領下で旧体制との連続件が残ることになった。と同時に、旧勢力の一部が初期の占領下で追放される一方、自己変身をとげ、占領軍に協力してゆく部分も存在したため、戦後の保守勢力には戦前とは異なる性格も発生した。それ故、旧勢力の連続性と断続性の統一的把握が比較占領史研究の重要な課題となる。以上の諸点をふまえて、今後の研究では、占領軍と被占領地の自主的な変革勢力との関係や占領という「異民族統治|下での民族主義の動向などが検討課題となろう。
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