研究分担者 |
浜 清 岡崎国立研究所, 生理学研究所, 所長 (90028267)
松本 明 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80053263)
下野 正基 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085771)
外崎 昭 山形大学, 医学部, 教授 (90004572)
武市 紀年 北海道大学, 医学部, 教授 (40002133)
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研究概要 |
最終年度は主に,異なる臓器・組織でギャップ結合の生理機能と分子構造を比較整理し,ギャップ結合の発現および制御機構の研究も行った。ギャップ結合の構成蛋白質コネキシンは,現在少なくとも12種類が発見されている。コネキシンは,動物の種差よりむしろ臓器によって,種類が異なっていることが多い。臓器・組織の機能が異なるように,異種のコネキシンで構成されたギャップ結合の機能も異なる。本年度得た知見として,心臓では,部位および方向による興奮伝導速度等の差とギャップ結合との関係を実験と理論で解析した。ラット耳下腺では,2種類の異なる分泌様式とギャップ結合細胞間連絡の関係,膵臓β細胞では,細胞内Caイオン濃度の振動のギャップ結合を介した伝播機構を示した。雄ラット脊髄運動ニューロンでは,ギャップ結合mRNAの発現が雄性ホルモンにより増大維持されることがわかった。。癌との関連では,肝臓疾患剤Malotilateのラット乳癌培養細胞肺転移抑制効果とギャップ結合との関連,ラット肝臓におけるギャップ結合増強物質の癌化予防効果が示唆された。細胞分化の観点からは,ヒト胎児癌細胞やニワトリ胚網膜色素上皮細胞の分化におけるギャップ結合の役割の重要性を示した。さらに形態学的研究としては,ラット顎舌下腺および小腸で,胎生期に特徴的なギャップ結合の形態・分布を調べ,ギャップ結合と分化の関係を示した。また,新しい凍結割断法で観察した肝細胞膜上のコネキシンの免疫局在,肝ギャップ結合でのコネキシン32とコネキシン26のランダムな分布,マウス卵胞での不要なコネクソンの細胞内への取り込み過程,組織の形態形成とギャップ結合の関連などの研究成果が得られた。班会議は平成6年2月に岡崎で生理研研究会を兼ねて開催し,平成5年8月には広島で1993ギャップ結合国際会議を共催した。
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