研究課題
平成4年度は主として卒後研修の大学院や専門医制度との係わりや、生涯研修とのつながりを検討するとともに、これまでの研究を整理して、卒後医学研修の改善について、具体的な提言をまとめることとした。大学病院での卒後研修の実体を把握するため、研究分担者とその関連の大学病院の研修実体を調査した。その結果、ほとんどの大学病院が外部の病院と連携し、卒直後2年間の内約半分の期間は関連病院において研修をうけていること、これらを病院全体で管理している大学は2割にみたず、多くは、診療科単位の運営に任されていること、大学としてのカリキュラムは準備されている所が多いが、実施の評価はほとんど行なわれていないこと、また、これらのカリキュラムは、初期研修のあとに予定される、学会専門医や大学院医学研究の過程と一連と考えて作製されていることなどが、明かとなった。これらと前年までの研究の成果を踏まえて、つぎの様な骨子の提言を報告書の形にまとめて文部省に提出することとなった。1.医師に要求される技術レベルが年々高度になっていることを考え、卒直後の研修が、単にその時点で完結するのではなく、認定医や専門医の資格取得につながる教育カリキュラムとすること。2.研修期間の経費は、直接経費、間接経費を分けて、各々を社会の適切な機関が負担し、研修医自身に負担を強いることのない体制をつくること。3.研修プログラムは、関連病院での研修内容を含む総合的なものとし、そのプログラムを大学の内外に公開すること。4.関連病院と大学病院との協力関係を明快なものとすること、そのための協議会を両者間に設けること。5.研修の成果を評価するために研修委員会を設置し研修をモニターすること。また、指導担当者の責任を明確にすること、などである