研究課題/領域番号 |
03306020
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桂 順治 京都大学, 防災研究所, 教授 (20034340)
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研究分担者 |
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 助手 (10111981)
中川 一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (80144393)
河田 恵昭 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10027295)
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キーワード | サイクロン / 高潮 / 洪水 / 潮位 / 気象衛星 / ベンガル湾 / モデル台風 / 死亡危険率 |
研究概要 |
1991年4月29日の夕方から翌30日の未明にかけて、バングラデシュ東部を襲ったサイクロンによる災害状況を調査した。雨による障害を避けるため、調査班を2つに分けた。第1班は6月23日から28日まで、ダッカ、コックスバザ-ル間約350Kmを陸路ジ-プで走り、全般的な災害の状況を調査した。電柱の新しいものへの替わる様子から、もっとも風が強かったのはチッタゴンから北に40Kmほどのところであろうと推察され、サイクロンの中心径路はさらに北を通っている可能性があった。しかし、この地域に災害の対象となるものが少なく、目立った被害はなかった。チッタゴン市街の南を流れるカルナフリ川の河口を境にバングラデシュ東部を南北に分けると、サンドウィップ島を除いて、風が強く、高潮も高かったと思われる北部で死者が少なく、南部で10万人の死者が出ている。この地域の海岸線は入組んで、島か陸続きかさえはっきりせず、海岸と平行な道路は15Kmほど奥に入っている。またそこまでの間には広大な湿地帯が横たわり、夜中に襲う高潮に対する逃道はない。そのようなところに養殖漁業と水耕が行われているという悪条件がわかった。 第2班は6月27日から7月4日まで甚大な災害を蒙ったチッタゴン市内を中心に、破堤の状況、高潮潮位、浸水深の分布を調べた。また。同国の学生を交えて、当時の避難の方法などについての聞込み調査も行った。その結果、市内西部の浸水は高潮の越堤で、南東部のカルナフリ川沿いの中心部を含む地帯の浸水は河面上昇の溢水によって生じたことがわかった。持ち帰ったデ-タから、ベンガル湾におけるサイクロンによる高潮を計算機によって同定すると、潮位が概ねよく合い、今後、サイクロンの径路、進行速度、中心気圧がわかれば、バングラデシュ各地の潮位を予測することができ、高潮予報への道を拓いた。
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