研究課題/領域番号 |
03306024
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
矢野 眞和 東京工業大学, 工学部, 教授 (30016521)
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研究分担者 |
丸山 文裕 椙山女学園大学, 人間関係学部, 助教授 (60144888)
金子 元久 東京大学, 教育学部, 助教授 (10185936)
山本 眞一 筑波大学, 大学研究センター, 助教授 (10220469)
菊池 城司 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00027963)
市川 昭午 国立教育研究所, 次長 (00000050)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 高等教育 / 教育費 / 授業料 / 教育機会 / 奨学金政策 / 私立セクター |
研究概要 |
わが国における高等教育は私立セクターの拡大によって成長し、その結果、教育費の負担は政府よりも家計にその多くを依存してきた。この傾向は1980年以降一層顕著になり、家計の教育費負担は高まるばかりである。ところが、高等教育の政府負担を増やすという政策が選択される社会的雰囲気は存在せず、国立大学の私立化が着実に進みつつある。現状の選択が賢明であるかどうかについては、かなり疑問が残る。現在大学改革がブームになっているが、改革の問題と教育費のあり方の関係を捉えた議論は殆どみられない。 費用の問題を抜きにした政策論議は無力であると私達は考えて、教育費の実態とその政策的含意を大きく次の三点から分析した。(1)授業料は何によって決まるか。国立大学と私立大学に分けて、授業料の推移とその規定要因を実証的に分析しただけでなく、政策理念と政治過程を踏まえた検討を行った。(2)奨学金政策は機会の均等化に役立っているか。学部の奨学金だけでなく、大学院を視野にいれて、この分野で充実した成果を上げているアメリカとの比較から分析・検討した。(3)大学類型によって家計所得はどのように異なっているか。国公立と私立、自宅と下宿という選択によって、教育費及び生活費は大きく異なってくる。この差異が家計所得別の大学選択にどのような影響を与えているかを実証的に分析し、国立大学が教育機会の平等化に果たしている役割を明らかにした。 最後にこうした分析結果を踏まえて、今後の研究課題を指摘した。現在高等教育は、一つの転換期を迎え、国立、公立、私立というセクター別の役割が不明確になりつつあるし、専門学校、短大、学部、大学院という区別も流動化しつつある。その結果、従来の資金調達方式では新しい高等教育システムの変化に適応できなくなっている。こうした変化に即して、高等教育システムを支える費用負担のあり方を再編すべき時期にきている。
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