研究分担者 |
小佐野 重利 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70177210)
鷹野 光行 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (20143696)
今村 啓爾 東京大学, 文学部, 助教授 (70011765)
藤本 強 東京大学, 文学部, 教授 (60011293)
河野 元昭 東京大学, 文学部, 助教授 (70000453)
|
研究概要 |
現代社会のなかで重要性を増しつつあると同時に,開発などとからんで多くの問題を提起している文化財が現代社会といかに調和して共存しうるかを研究し,理論化するための研究組織を立案することが本研究の目的である。この目的のため本研究が実施したのは,(1)文化財の歴史的評価についてのサンプリング研究,(2)文化財の現代社会におけるサンプリング調査,(3)諸外国における文化財に関する動向調査,(4)国際共同研究の立案,(5)研究企画議,以上の5点である。(1)に関しては、時代による評価基準の大きな違いのあることが判明し,その異動の傾向を大局的に把握することの重要会性が明らかとなった。(2)に関しては,文化財に対する社会的コンセンサスが必すしも確立しておらず,世代,社会階層,地域,価値感(宗教など)によってかなりの差異があることが判明した。文化財を積極的に評価するためには,最小限の社会的コンセンサスをつくることが重要であり,そのための具体的,効果的方策の探求が本研究の今後の課題であることも明らかとなった。(3)に関してはイタリアを中心に動向調査を行った。戦前から文化財行政を積極的に行ってきた同国は文化財自体の価値評価だけでなく観光資源としての評価も加えて文化財を活用する社会的コンセンサスが確立しており,わが国の文化財問題に多くの示唆を与えてくれることがわかった。今後とも文化財に関する先進国とそうではない国々の動向を調査する重要性が判明したことは,本研究にとって大きな意義があった。(4)についてはイタリア,フランス,ドイツなどとの協同研究の可能性を追求し,実現可能であることがわかった。以上の研究を推進したのが(5)における会議である。 本研究の推進により具体的研究課題とその重要性,研究組織の可能性が明らかとなったため,2年ほどの綿密な計画立案期間を設け,平成六年度の重点領域研究で本格的研究を開始する予定である。
|