研究課題
平成2年度に引き継いで平成3年度においても、立坑を利用した準実スケ-ルの雲物理実験の将来性、重要性、及び当面の課題等について検討を行った。前年度では、理想的な実験環境下で行うことのできるモデル実験について、各研究分担者が理想を述べるにとどまっていた。そこで本年度では、既存の施設をどの様に利用したらどの程度の成果があげられるか、そのためには最低限どの程度の実験・観測設備が必要かという、現実に即した実現可能案について討論を行った。本年度の第1回の会合は7月に岐阜で行われ、立坑の所有者である三井石炭鉱業(株)、坑内の設備を担当する三井建設(株)の関係者と、本研究分担者とが集まった。この会合で、立坑内を上下するエレベ-タ-と、それに附属させる測器の仕様と測定項目とが決められた。その後このデ-タを各自が持ち帰り、具体的な測器とエレベ-タ-の設計図の作製を行った。平成4年2月には、設計図に基づいて作られたエレベ-タ-の設置が完了し、その見学が行われた。同年3月には、北海道大学低温科学研究所で、エレベ-タ-に乗せる計測器の持ち寄りと実験プランの作製を行った。当初の予定よりもエレベ-タ-の設置が遅れたため、今年度行う予定であった坑内の環境測定を行うことは出来なかった。しかし、準備は完了したので、来年度は引続き実験を継続する予定である。立坑を科学実験設備として蘇らせるという目的と、地球環境に果たす雲の役割の重要性の認識の高まり、という2点から本計画は多くの方々に興味や期待と励ましを受け、地元紙にも度々取り上げられている。今後も関連学会や国外にも広く呼掛け、具体的な設備作りの為の働きかけを続けて行く予定である。