超顕微光学的手法による細胞観察・操作・加工技術の開発と細胞動態の解析への応用

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03354028
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 楠見 明弘 東京大学, 教養学部, 助教授 (50169992)
• 研究分担者: 宝谷 紘一 帝京大学, 理工学部, 教授 (80025444) ; 岡崎 敏 京都大学, 理学部, 助手 (40025383) ; 吉岡 亨 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (70046027) ; 木下 一彦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30124366) ; 河田 聡 大阪大学, 工学部, 助手 (30144439)
• キーワード: 光学顕微鏡 / ナノメ-トル / ナノ秒 / 蛍光顕微鏡 / 近接場顕微鏡 / 時間分解測定 / 非破壊計測

研究概要

生きている細胞の動態の観察のための最良の方法は、光学顕微鏡法である。一方、レ-ザ-技術、ナノテクノロジ-、及び、人工知能制御技術の進展により、いまや、顕微鏡下で観察可能なものは、すべて操作可能・加工可能という状況が出現しつつある。このような新しい局面において、我々は、以下の3点を最も緊急かつ基本的課題であると考え、系統的に調査・研究を行った。即ち、(1)特定の1分子・1原子を検出するという究極の感度を達成すること、(2)広汎な科学技術、特に、画像解析・レ-ザ-技術・光検出技術・蛍光分子の設計と合成技術・ナノテクノロジ-・人工知能制御技術の現況を調査し、超顕微光学的手法に援用すること、(3)分子細胞生物学的手法と顕微光学的手法を複合的に用いること、である。それぞれの分野について調査を行い、班員のみならず主だった研究者と討論の機会を作り、研究の現在と将来を分析・考察した。さらに、今後の研究計画・研究目標を討論した結果、以下の分野を重点的に発展させる必要のあることが結論された。
【A】超顕微光学的手法による観察・測定技術
[I]1分子ダイナミクス直視技術
[II]蛍光イメジング技術
[III]超高速イメジング技術
[IV]画像解析技術・デジタル画像情報の圧縮保存技術
【B】超顕微光学的手法による操作・加工技術
[I]顕微1分子操作
[II]マイクロ-ナノメ-トルのレベルの超微顕微操作
[III]レ-ザ-及び電場匂配細胞加工法
[IV]分子操作・細胞加工技術と分子細胞生物学的手法との複合化技術

研究成果

• [文献書誌] A.Kusumi,A.Tsuji,M.Murata,Y.Sako,A.C,Yoshizawa,S.Kagiwada,T.Hayakawa and S.Ohnishi: "Development of a Streak-cawera-Based Time-Resolved Microscope Fluorimeter and Its Application to Studies of Membraul Fusion in Single Cells" Biochemistry. 30. 6517-6527 (1991)
• [文献書誌] T.Noda and S.Kawata: "Separation of phase and Absorption Images in Phase-contrast Microscopy" J.Opt.Soc,Am Ag.
• [文献書誌] K.kinoshita,H.Itoh,S.Ishikawa,K.hirano,T.Nishizaka and T.Hayakawa: "Dual-view microscopy with a single camera:Real-time imaging of molecular orientations nad calcium" J.cell Biol. 115. 67-73 (1991)
• [文献書誌] E.Ito,T.Takahashi,K.Hawa,T.YoshiOka,W.Mizutani,H.shimazu and M.Ono: "An approach to imaging of living cell surface topography by scanning tunneling microscopy" Biochem.Biopys.Rcs.Commun.177. 636-643 (1991)
• [文献書誌] S.Nomura,K.Nozaki and S.Ozaki: "Fabrication and evaluation of shieldcd ultramicroelectrode for submicros'evend electroanalytical chemistry" Anal.Chem.63. 2665-2668 (1991)
• [文献書誌] H.Miyata and H.Hotani: "Morpholgical changes of liposomes caused by polymerization of eucapsulated action and spontaneous formation of action bundles" Proc.Natl.Accl.Sci.USA.
• [文献書誌] 宝谷 紘一,木下 一彦(編): "限界を超える生物顕微鏡ー見えないものを見るー" 学会出版センタ-, 177 (1991)