研究分担者 |
西田 泰民 (財)古代学協会, 古代学研究所, 助手 (80172667)
坂井 聡 (財)古代学協会, 古代学研究所, 講師 (20215586)
辻村 純代 (財)古代学協会, 古代学研究所, 講師 (60183480)
川西 宏幸 (財)古代学協会, 古代学研究所, 教授 (70132800)
浅香 正 同志社大学, 文学部, 教授 (70066059)
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研究概要 |
本研究計画の最終的研究成果の概要は,以下のように概括できる。 研究代表者角田は,比較史的観点より世界各地における都市の形成期の諸問題を取り扱い,出現期の都市に見られる都市計画の発展の類型化を試みた。その中に,ポンペイの都市計画に見られる特徴を位置付けた。分担者浅香は,ポンペイ郊外のウィラに関し,経済史観点からなされた過去の研究を整理し,その生産活動の範囲が局地的経済圏を超えて広がっていることを,最新の考古学的史料により論証した。また現在までに発掘されたウィラの一覧表を整理し,研究者によって異なる番号付けに統一性を持たせた。またこれまで作成された平面図のすべてを収集し,その類型に関する考察を行った。さらに発見されている施設や道具の分析によりウィラの用途を特定し,その歴史的発展に関する考察を行った。分担者川西は,ポンペイ遺跡で使用される石材やその加工痕の分析により,壁体構造の分類に基づく旧来の編年体系を更に精緻にする研究を行った。分担者辻村は,ポンペイ市街地の舗装道路上に残された轍痕の分析を通じて,街路の一方通行の方向性や,対面通行の場合車輌が左側通行であったことを論証した。分担者坂井は,ポンペイという地方都市が,ローマ史全体の文脈といかに関わっているかという観点から,共和政末期のローマ軍団兵の地方都市への入植という問題を取り上げ,この動きがポンペイの都市形成に与えた影響を考察した。またこの時期前後に遡る銘文の分析を行い,前ローマ期のポンペイの地誌的研究や,退役兵入植後の都市役職者のプロソポグラフィー研究を行った。分担者西田は,ポンペイの都市形成を考えるうえで注目される一街区に関して研究を行い,この地区がポンペイのより古い段階に存在したとされる所謂『旧市街』であるとの通説に疑念を提示した。 以上,4年間にわたる研究成果を報告書にまとめ,平成7年3月に刊行した。
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