研究分担者 |
中川 武美 東北大学, 理学部, 助手 (70004348)
寺沢 辰生 東北大学, 理学部, 助教授 (40004436)
玉江 忠明 東北大学, 理学部, 助教授 (10124174)
斎藤 悌二郎 東北大学, 理学部, 助教授 (70004322)
藤平 力 東北大学, 理学部, 教授 (80004282)
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研究概要 |
平成5年度は、前年度に完成した新ビーム輸送系を用いて連続電子線を第2実験室から第1実験室に導き、標識付光子による原子核実験を行った。特に、第2実験室に於て^<12>C(e,e')実験を行い、標的通過後の電子ビームを第1実験室に導いて(γ,p)実験に再使用したところ、これまでと全く同質のデータが得られる事が判り、両実験室に於ける実験の同時実施が可能であることが示された。 核内核子相関を調べる目的で今年度実施された実験課題は、第1実験室に於て^<12>C、^<16>O(γ,p)反応の測定、第2実験室に於ては^6Li(e,e'p)、^<16>O(e,e'n)、^<40>Ca(e,e'n)である。これ等の実験で得られた放出核子の角分布から、核の励起エネルギーが50MeV附近でも共鳴を通じた核子放出が起こっている様子が示され、長距離核子相関の影響が高い励起エネルギーの状態にまで及んでいる事がうかがえる。実験値と理論値はくい違いを見せており、実験を証明する理論の精密化が今後の課題である。 今年度末には、光核反応に対する核内核子相関の寄与に関して現在世界的に最も活躍している理論家の一人であるJ.Ryckebusch博士(ゲント大学・ベルギー)を東北大学に招聘し、最新の理論に関するセミナーを開催すると共に我々の実験結果に対するレビューを受けた。本研究で得られたデータは、正確さ及び反応の豊富さに於て世界的に貴重なものであり、Ryckebusch博士の理論の厳密な試験と成り得るため、核内核子相関に関する理解が今後前進するものと思われる。
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