研究課題/領域番号 |
03402004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 健蔵 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (10011735)
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研究分担者 |
谷森 達 東京工業大学, 理学部, 助教授 (10179856)
鈴木 洋一郎 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (70144425)
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キーワード | 太陽ニュ-トリノ / 超新星爆発 / ニュ-トリノバ-スト |
研究概要 |
本研究の目的は、神岡地下実験装置を改良しつつ、それを用いて、第1に太陽ニュ-トリノを精度良く連続観測すること、第2に新たな超新星爆発の発生を、ニュ-トリノを検出することにより監視することである。 太陽ニュ-トリノ観測については、1987年1月から1990年4月までの、いわゆるKamiokandeーIIにおける観測結果の総合報告を本年度に出版し、 ^8Bの崩壊からの太陽ニュ-トリノ強度が理論的予測の46%±5%(統計誤差)±6%(系統誤差)であること、11年周期の太陽活動の変化に伴う顕著な太陽ニュ-トリノ強度の時間変化は認められないこと、等の知見を明らかにした。更に、改良したKamiokandeーIIIのフェ-ズの解析を行い、1990年10月から1991年3月迄の太陽ニュ-トリノ強度が65%±18%±9%であり、それ以前の結果と矛盾無く、時間変化も認められないという新しい結果を得た。今後更に観測時間の増加に伴って、結果の精度は向上する。 超新星爆発の監視については、セミ・リアルタイムで(正確には観測中10時間間隔程度で)ニュ-トリノバ-ストの有無を調べる段階に達した。現在これを10分間隔で行えることを目標にプログラム改良中で、これに成功すれば光学観測に先駆けて超新星を発見することが可能となる。 神岡地下実験装置の改良については、高性能ワ-クステ-ションの導入と付随する磁気テ-プ装置の設置により、リアルタイムでのデ-タ処理能力が格段に向上した。更に、前年度に導入された新しい電子回路の電源系統の改良を行い、ノイズの低減によりトリガ-レ-トを下げることができた。今後更にトリガ-敷居値を下げる努力を行う。これに成功すれば太陽ニュ-トリノの観測数が増えるので、観測精度が更に向上する。また、神岡実験は多目的であるため、改良された装置により本研究の直接の目的以外にも多くの成果が上がっている。
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