研究課題/領域番号 |
03402004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 健蔵 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (10011735)
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研究分担者 |
谷森 達 東京工業大学, 理学部, 助教授 (10179856)
鈴木 洋一郎 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (70144425)
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キーワード | 太陽ニュートリノ / 超新星爆発 / ニュートリノバースト |
研究概要 |
研究課題が示すように、この研究の目的は、第1に太陽ニュートリノを精度良く連続観測すること、第2に新たな超新星爆発の発生を、ニュートリノを検出することにより監視することである。実験装置は東京大学宇宙線研究所・神岡地下実験室に設置されている水チェレンコス検出器、通称Kamiokandeを用いる。 本科研費による主要設備の購入・設置は平成3年度に行われており、今年度もこれらの設備を用いて、(1)太陽ニュートリノの連続観測、(2)太陽ニュートリノデータの解析、(3)ニュートリノバーストの監視、を実施している。まず(1)の太陽ニュートリノ観測については、ルーティンワークとして順調に行われている。(2)に関しては、平成5年7月までのデータの解析が終了し、Kamiokande-IIIとして627日分、Kamiokande-IIの1040日分と併せて、全部で1667日分のデータが蓄積されたことになる。この成果は国内では日本物理学会の平成5年秋の分科会(高知大学)で初めて発表され、国際的には平成6年1月にインドで行われた非加速器素粒子物理学国際会議で中村が発表した。その内容は次の通りである。(1)^8Bの崩壊からの太陽ニュートリノ強度は理論的予測の約半分である。(2)反跳電子のエネルギー分布は^8Bの崩壊で説明される。(3)観測精度の範囲で昼間と夜間の太陽ニュートリノ強度は等しい。(4)Kamiokande-IIの結果と併せて6年半年に渡る観測で、太陽活動の変化に伴う顕著な太陽ニュートリノ強度の時間変化は認められない。(3)のニュートリノバーストの監視については、オンライン、セミ・リアルタイム(15分間隔程度)でニュートリノバーストの有無を常時モニターしている。我々の銀河系内で超新星爆発が起きれば、光学観測に先駆けて超新星を発見することが可能である。 神岡実験は多目的であるため、本研究の直接の目的以外にも多くの成果が上がっている。今年度は特に陽子崩壊の特殊なモードの探索と、上向きミューオンを用いた宇宙の暗黒物質の探索にも成果があった。
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