研究課題/領域番号 |
03402007
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
舛本 泰章 筑波大学, 物理学系, 教授 (60111580)
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研究分担者 |
三品 具文 筑波大学, 物理学系, 助手 (10209744)
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キーワード | ZnP_2 / フェムト秒時間分解分光 / ワニエ励起子 / ポラリトン / 量子ビート / チタンサファイアレーザー / ポラリトン量子ビート / 光学非線形性 |
研究概要 |
<ZnP_2におけるフェムト秒時間分解分光> 黒色ZnP_2半導体結晶は、その吸収スペクトルにn=7にも及ぶワニエ励起子系列が観測される興味深い物質である。今年度、フェムト秒時間分解分光法によりZnP_2中ワニエ励起子において、励起子間干渉にならびポラリトン分枝間干渉に起因する2つのタイプの量子ビート効果の観測に成功した。 実験は、サンプルとして石英管中で気相成長させたZnP_2結晶をさらに光学研磨したものを用い、光源にはフェムト秒モードロックチタンサファイアレーザーの出力光を2つのビームに分けて用いた。片方のビームは偏光がb軸に平行になるようにサンプルに入射させ、その透過ビームと時間遅延をつけたもう一方のビームを光学非線形結晶により混合することにより、透過ビームの時間変化を測定した。 レーザースペクトルがn=2、3、4の励起子吸収線をカバーするように同調させて測定を行うと、時間原点に、大きなピークに加えて数ピコ秒に及ぶ振動波形が観測された。この振動波形は励起子間の干渉に起因する量子ビートであると考えられ、n=2、3、4の励起子を単純な振動子と仮定して行ったフィッテイングと実験結果と、よく一致した。 同様の測定をレーザの中心波長をn=1励起子に同調させて測定する際には、レーザー光のスペクトルは他の吸収線とは全く重なりを持っていない。単一吸収線の場合、実験結果には自由誘導緩和としての指数関数的減衰信号が期待される。しかしながら、実験結果では予想とは異なり周期がしだいに広がっていく奇妙な振動構造を示した。 この振動構造は光パルスの伝搬効果を反映したポラリトン分技間の干渉効果によるものであると考えられ、ポラリトン量子ビートとでも呼ぶべきものである。実際このポラリトン効果を考慮したフィッティング結果と実験結果は、非常によく一致した。
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