研究課題/領域番号 |
03402009
|
研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
池田 宏信 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 教授 (90013523)
|
研究分担者 |
新井 正敏 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 助手 (30175955)
古坂 道弘 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 助手 (60156966)
池田 進 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 助教授 (80132679)
|
キーワード | パ-コレ-ション / フラ・クタル / 相転移 / 磁気励起 / 中性子散乱 |
研究概要 |
パ-コレ-ション磁性体はフラクタル構造をとる典型物質である。希釈反強磁性体の相転移およびダイナミクスを、スピン問結合形態のフラクタル性の概念で新しい展開を試みる研究を開始した。今年度の研究実績のうち主要な発見事項は、次の2点にまとめられる。(1)パ-コレ-ション磁性体の秩序が破壊され、無秩序状態に移行する動的過程の中性子散乱および磁化測定による実時間観測を初めて成功させた。これは、フラクタル構造が壊れていく過程を、イジングスピンの相関が消えていく現象を通じて見たもので、ランダム磁場効果を利用することによって初めて観測可能としたものである。この研究は、国際シンポジウム“Slow Dynamics in Condensed Matter"(1991年11月)の招待講演で詳しく議論された。(2)パ-コレション点近傍の磁性体の磁気励起をどのような描像で記述すればよいのか、という未解明の問題を解決させるための実験を開始した。ハイゼンベルク磁性体においては、フラクトン励起の存在が予言されているにも拘わらず、その実体は実験的に明らかにされていない。現存よる磁性体の中で最も理想的なハイゼンベルグ反強磁性体RbMnF_3を非磁性Mg原子で希釈した系での徹底した中性子実験を開始した。すでに、Mn74%試料の磁気励起の全貎が明らかになったが、最終的には、パ-コレ-ション濃度(Mn31%)での幻励起の形態を明らかにしたい。また、イジング磁性体のパ-コレ-ション点近傍での磁気励起状態が本研究によって初めて明らかとなった。高分解能中性子非弾性散乱実験により、イジングラスタ-励起とクラスタ-内部励起とが共存するという意外な事実が見い出され、このことによって、希釈イジング系における全濃度領域における磁気励起の全貎が明らかになった。
|